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第三十七話
「よくやった。」
コーチも監督もそうといかける。
「ありがとうございます。」
山口も笑顔で答えた。
「えー、ではキャプテンの・・。」
球場での取材はまだ続いていた。夏の陽気の中で、坂下高校野球部の挑戦の甲子園大会が始まる。
まだ、マスターは泣いている。この分だと、甲子園にマスターも来るな・・。
「やったね。」
「ええ。」
これで俺も山岸さんとの距離も近くなる。
「やったな。」
その言葉を掛けたのは、店が臨時休業して来たうちの親父だった。
「親父。」
「横浜以外の高校野球を見に来るとは、初めてだ・・。」
・・全国の大会の決勝での勝利に、まとまっていない親父・・。
・・そうすると、ラーメンの話も具体化する。この応援の影響で、夏休みの課題の提出期限延長が発表されるだろうな。
「山口君には、甲子園に来る前にうちのラーメン屋で応援しなくちゃな。」
「ああ、新幹線で通って、そのまま兵庫かもね・・。」
「そうかもな・・。」
親父は何かうれしそうに言った。




