第三十三話
「よくそれで前期期末テスト平均68点だったな。」
「勉強は別口なので。」
「かっこいい。」
山岸はそう言って微笑んだ。
「山岸さんも相当かわいいですよ。」
「おっ茜君言うねー。」
「そんなことはありません。」
ライトに守備に就いている山口は茜達に気づいたようだった。なぜか、帽子のふちを握る・・。
「あっ山口君、ナイスピッチ。」
声は聞こえなかったみたいだが・・それがいい。こうして、記者の質問が取材に当たるか、仕事に当たるのか、昨年はラーメン屋の手伝いをしていたものだ。
回が変わるごとに気持ちの変化を感じていた。高校一年生、若手のような歓声と感性・・。
6回、坂下高校が追加点を入れ、試合は8回表を終了し、スコアは4対2だった。
八回、坂下高校ワンアウト2塁に走者を進めた。
「代打、吉川君に変わりまして、井中君。」
「きっちりバントで送り代打か。」
記者が言った。
「ここで代打しっかり井中先輩は、決めてくれるでしょう。」
茜は言った。
「さすがだな。」
記者は言い、見つめる山岸。
・・しかしこの勝負どうやった体制で行うんだ?
地方大会決勝においてこのようなラッキーでありながら並を超えた8回のチャンス、その後の投手で一回を抑えなければならない。どうする坂下野球部・・。




