第三話
もちろん、実家のラーメン屋にそれを残して東京の学校に入ったのだから、そこからは離れたいという若さがあった・・。人々がそれを若さというか、学生にはそんなこと関係ないのだ。そして、待っているのは仲間・・。そう、これはこれからの長い物語の序章なのだ。
「いやあ、茜君。試験好成績だね。」
「ありがとうございます。」
「それで、夏休みに皆全国を目指し大会を迎えるわけだが、その栄養管理を栄養士と共に考えてくださいよ。」
「えー。」
「茜、栄養士筆記テスト筆記、合格点なんだろ。」
「そうですか、学校と教育委員会の問題にならなければ。」
「後、父さん。」
「実家には仲間もいるんだろ。成績が安定しそうだし、君は環境省の賞をもらった優秀な経歴のある学生だ。学校側も積極的な活躍を期待してるんだ。」
「バイトでコーヒー飲むよりどっちがいい?」
「その質問にはお答えできませんね。」
「だから、君に頼ってるんだ。」
野球部の栄養管理と言う、特別活動だ・・。野球部を支える・・そんな姿だ・・。まさか、学校からアプローチがあるとは・・。私立はそういうものに力を入れていると、いうことがよくわかった・・・。
「この一杯が勝敗を決めるというのもありますしね。」
先輩の河口、野球部マネージャーだ。
「いきなり、野球部手伝うようになってそれですか?・・シビアな世界ですね。」
「話題が勝敗を分ける・・一杯は、きっといっぱいの努力と、その場のセンスよ。きっと。」
「よく言われますよね。マネージャーの方・・。」
「誰かのせいにはできない・・。それがスポーツだと言いたいのよ・・。そのためには、徹底した栄養管理・・。」
春からのこの会議は決まっていたが、いざやるとなると、考えが深くなる。
一番茜が考えたのは、目の前にある勝利を取るか、その先の人生を取るか。
「難しい。」
テスト開け2時から会議は4時半まで行われた。
「茜さん。」
「河口先輩。」
「今日はありがとうございました。」
風で髪がなびく。
「はい、あのこの後バイト控えてるんで。」
「何だ、今一緒にお茶飲もうかと誘おうと思ったんだけど。」
「はい?・・ああ、でも僕喫茶店でバイト入ってるんで、また次の時にお茶してもらえますか?」
「ええ。」
「まず、常に持っている、ラーメン通りの紹介パンフレットと割引券をお渡しします。後、これ名刺です。」
「あっこれはこれは。」
「またお茶誘いますね。」
「はっはい。」
(やはり、マネージャーだ・・それも進学校、全国の野球部の記録員に出ていた、元生徒会副会長、河口さんは違う・・)
野球は情熱の世界でもある・・。
実は、ちょっと前にそれを知っていたけれど・・。
さっ、バイトの時間だ・・。
所得制限のある寮住まいで、カフェでのバイトだ・・。
学生から、ウエイターへ・・。
高校生になって、少し、仕事について工夫を凝らしていた・・。
勉強に繋がっている・・。そう思えた茜・・。
そして、学校を後にする。




