第二十七話
茜はカフェで二時間バイトをしていた。既に発注先からテレビが届き、展示してある。無理もない、彼はまだ一年生なのだから。・・それにしてもコーヒー飲みながらテレビを見る機会なんて今まで聞いたことがない。取材を受ければお金は実家行きだ。今はこうして、マスターの言うことをきき、バイトするのが休みなのだ。もちろん、宿題もこなしてはいたが、それを何やらテレビの噂が、視点をずらしそうで何とも不思議なカフェが出来上がってしまった。
「さすが、茜君、記者の紹介お断りしたんだって。」
「芸能人扱いは違いますよ。インタビュー。」
「ここ、ドラマの舞台とかならないかな・・。」
「はは。あんまり言わないでくださいよ。」
茜は笑って言った。
茜はコーヒーカップにブレンドコーヒーを注ぐ。もちろん、今日はアイスもホットも用意してある。
「はい、ブラジルブレンドです。」
「ああ、ありがとう。」
「さすが、君みたいな子がいると、喫茶店のイメージを持ってるね。やっぱり、くせかな。」
「最近はなぜか、中華屋でパソコンを持ち込んでくる人もいますからね。お客様目線をカフェ重視にしたのに、くせがでるってことはまだ学生ですかね。」
「なるほどね。ん今日の珈琲もうまい。」
「君にはきっといい取材が来るよ。」
客は笑顔で言った。




