第198話
「かしこまりました。エースのアイスで氷有りですね。」
「ガムシロップはカラメルのオプションできる?」
「プラス300円で。」
「コーヒー屋でカラメルラテ飲める店はここぐらいだよ。」
客は笑った。
もちろん、今は夏なのでアイスコーヒーが主流だ。
茜はこのバイトに充実感を感じていた。
「じゃあ、渡して。」
マスターが言う。
「お待たせいたしました。」
笑顔で言う茜。
「全日本のチームに山口を入れない?」
「やはりそれが適当だと思います。」
「坂下高校はそれでいいのですか?」
「代表選手、中川。補欠投手で相内、打者の佐藤を加入できればと..。」
「怪我知らずと言うが..やはり、今同じ流れでこの高校の名誉を考えればこの起用は
正しいものかと..。」
「やはり、そうか・・。」
「その通りです。」
坂下の監督は言った。
「バーチャルデータトレーニング?」
代表に選ばれなかったことに理解をしていた山口に練習方法の新たな時代を感じた。
「スコアボードを元にバッティングマシーンがその位置にボールを投げる..。」
「打者には画期的だな..。」
「中川先輩、代表挨拶の後、すぐ学校へ戻ったんですか?」
「バーチャルデータトレーニングは野球の常識を変えるかもしれないな。」
「まあ、コーヒー豆を握ってトレーニングをするのも野球の新常識ですからね。」
「それで、費用はどのくらいで・・。」
「それがな、君の全国での家族のメッセージが届いたところ、全国から同情の寄付が学校にたくさん送られた。それもものすごい数のだ。」
「高校は一般の寄付を教育費の充実に充てることにしているが、まあ、何しろ野球部あってのものだ・・バーチャルデータトレーニングを採用するそうだ。」
「あの、データトレーニングか・・。」
「何だ山口、まずは感謝からじゃないのか?」
「千葉ライアンはバーチャルデータトレーニングを採用した初めての中学軟式野球チームなんですよ。」




