第百八十話
アルプススタンドへ向かう山口。
選手控え室で様子を見る。次の試合の登板予定の中村..この試合、妹の真樹も見に来ていた。
「立場ないわ。」
「真樹、兄さんの心配をしなさい。」
「校歌でもあんだけ上手く歌うのは初めて見たわ。」
「はは。」
父親も笑う。
「兄さんが坂下じゃなくてよかった。」
「第2試合を担当しますのは、解説、元東都野球クラブ主任、登り坂透さんです。実況は私田野が担当いたします。」
「主審は..。」
試合は準決勝まで進む。
「中村ー、準決勝で甲子園初のノーヒットノーラン!!」
「坂下の待つ、決勝へ駒を進めました!」
「高速チェンジアップ、この二年間、長かった決勝の舞台がなんと中学時代の日本一のチームとなる、異例の決勝戦が今すでに幕を上げているのは視聴者の皆さんにはすでに決勝戦のどちらに別れかわからない試合に、今回は到達したと言えます。」
「ノンヒットノーランを見た試合ですので私もかたよりますが、二試合連続ノーヒットノーランでの優勝と言う可能性もあります。」
「多くのドラマが起きた甲子園、いよいよ決勝へ到達します!!」
「実況は田野でした。」
決勝を前にインタビューに答える坂下高校監督。
「この一日どう過ごされます?」
「選手にはただ寝てほしいです。」
記者から笑いがこぼれる。
「本当ですよ。」
「相馬くん、来年優勝旗で写真撮ろ。」




