第172話 一年で変わったチーム、同じ勝利・・
「山口が出てきました。」
「背番号1、決勝。」
右手を握りしめチームの名前の書いてあるユニフオームの少し上を挙げてベンチに全力疾走をしていく。
「これはこれまで投げてきた三年生ピッチャー、中川が勝利時にアルプススタンドに答えるものと一緒です。」
「山口くんの調子がいいのは確かですね。」
「決勝で、一塁手兼投手、志田、坂下高校の決勝進出から策を考えてきたとキャッチャーの田中くんは言っていたということです・・。」
「両アルプススタンドとも、大歓声の中、決勝が行われます。」
「気づかなかった、これがあの山口くんのジェスチャーだったのですね。」
解説が驚きながら言う。
「なるほど、山口、投球練習の度、声と、グランドの違いはさすが地方大会の一番の盛り上がるあの、毎年繰り返さない、いつもの甲子園を、グランドは主張しているようにも見えます・・。」
「確かに、落ち着きは大切ですね。」
「2球連続フオーク!」
山口、失点0でベンチに戻ります。
「先発ピッチャー、志田くん。」
歓声が上がる。
「サイドスローながら130キロを投げる志田、七種の変化球を投げる豪腕ながら繊細な球速の持ち主、1年生時には甲子園注目ピッチャーとして取り上げられた経験もあります。」




