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第百五十四話
「茜君の友達は、コーヒーや絵画より、全国に発売目前のインスタントラーメンが好きだと思っていたのにな。だから、茜君に会いに来たのかと思った。」
「いや、まさか、コーヒーでラーメン提供したらさすがに居酒屋になってしまうので・・。」
「最新的で画期的なんだが、茜君のラーメンはやはり美術品の感動的な静かなものには勝てないか・・。」
「15分以内に駅に着けるんで、来ただけです。マスターは考えすぎです。コーヒー水出し、一滴堕ちるごとに、『星落ちたな』なんて思いませんもんね。」
「はは。」
マスターは笑っていた。
「茜君、+380円のケーキセット、出して。」
「はい。」
店長は言った。
「でも、ファンが増えてラーメン店が混雑したら、3代目はすごく新しい可能性も出てくるわね・・。」
「山岸さんは厳しいこと言うんですね。」
「はは。」マスターは笑った。
「それは言い過ぎ。」
「そうですか?」
「茜君は若い。」
・・美術作品にピュアな噂話が飛ばないといいけど・・。茜は思っていた。




