第十四話
「この喫茶店のコーヒーゼリーです。」
「そうそう、さすが茜君、編集者にお茶出しね。」
マスターもそれを聞き微笑む。ただの交渉なら電話でいいのに・・。実家の親父のところの話の方がスムーズなのに・・。
高1から見ても、まだ若い編集者に見えた・・。
バイトから、客になり、商売にする・・。
最近のトレンドだ・・。
高校生活と言えば、夏休みまでに色々と教えれば、満足した夏休みを、上手くいけば友達だってできる。そのやりすぎない、味を学んできた茜にとってこの夏もいつも通りの夏
・・。
少し、肌寒い、セミが鳴いてくるとき、横浜球場に野球を見に行ったのは3年前の夏。
「茜。」
「山口。」
ユニフォーム姿の山口。
「今日は少しかっこづけて行こうぜ。」
山口は笑った。
ユニフォーム・・。
山口の背番号は練習用で使っていた1。
そのユニフォームを高校球児では、1年生ではまれに見る、146キロを出したその日から背番号1を山口康太は背負った。
「少し重いな。背に感じる感覚はまあ懐かしいと言えば生意気か・・。」
「いやいや。今は康太は頑張るだけだよ。」
「はは、そうだよな。」
この二日前の取材で山口が茜のことをよく言っていた。




