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第一三四話 小雨の継投
「中川、マウンドに上がらず、ライトへ向かいます。」
「ピッチャー、中川くんに代わり、相内くん。」
走りながらマウンドに上がる相内。
「さー、いいところですが、応援の皆、給水タイムです!」
マスターと茜の父親が一緒に給水の声掛けをする。
「・・ここでも、宣伝兼ねた、二店舗の間柄・・。」
「茜くん、行かなくていいの?」
山岸が尋ねる。
「さー、皆さん、給水タイムですよー。」
茜は声をあげた。
・・康太みたいな、声じゃないけど、応援してるぜ。
茜は応援隊に自ら給水活動に声を挙げた。
「これが戦いと言うものでしょうか。やはりオープニングゲーム、どちらも負けに行くわけにはいけません。」
「2番、ピッチャー、相内くん。」
「ポジションの入りかえをもう一度アナウンスしたようです。」
「このような記録は珍しいですからね。記録が係りやその他の観客に分かりやすいように機転を利かせたのでしょう。」
「相内、中川の指導もあり変化球に定評があります。」
「伸びのある直球も武器です。」
「小雨の甲子園、長い2回の攻防が幕を開けるようです。」




