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第一二七話 魅惑のナックルボーラ―の牽制
「なんと夏の決勝大会勝利投手が牽制でアウトをとられる状態になっています。」
「山口、少しの動揺からか、一塁コーチではなく、3塁コーチを見ます。」
その仕草に少し答える3塁コーチ。
「ドンマイ。」
ベンチで山口に声をかける選手達。
「ナックルは見せ球ということですね。」
「僅差を勝ち上がった試合の仕方をすれば、先発投手は2球目からナックルボールを投げるのでしょうか。これが点をあげられず、取材に応じた中村の言う昨夏のマウンドの威力を自ら、勝ちにいくということでしょう。」
山口はヘルメットを取る。
「すみません。」
「いや、大丈夫だ。」




