第十二話
「おっいけねえ、こんな時間だ。マスター1100円だったな。」
「茜君、また来るからな、ごちそうさん。」
「あのお客さん長いリピーターになるかもな。・・しかし、どこかで見たことがある。」
「どういった方なのでしょうかね?」
「このカフェはそんな感じのカフェじゃないですか・・。」
「上手い上手い。」
他のお客さんは拍手をした。
そして時の流れが流れるのも早く・・7月2週・・。
「7月2週、地方大会優勝頑張るぞ。」
「おー。」
「二戦5打点、失点2。どちらもAシードとBシードのチームだった。よく勝ったな。」
「しかし、春夏連続出場を目指すチームなら一戦必勝、そのうえで今回は打撃を重視して結果を増やしていく。」
「はい。」
監督の話をスタンド脇から見る茜。異例の関係者席に生徒だ・・。一戦の勝ちにこだわるのは先輩の思いも強く、それが後輩にも繋がる・・。夏場の珍しい景色だと、少し、思えるのは、観客の雰囲気・・。試合の雰囲気はチームではすでに出来上がっていると茜は考えた・・。
(さすがあの監督・・。)
「やはり、打撃陣が苦戦か・・速い。」
山口は言った。
「春の大会と同じ成績が残せればいいけど、このチームは打撃に不安を持つ人が多い、なぜだと思う?春に出場したチームが打撃に弱いところ。」
「東京都が激戦区で、今人気の都市で、3大会連続夏の東京大会の優勝者がベスト4入りしているから?」
「最近はホームランも当たり前。そんな中春夏連続出場、ベスト4まで行けばおのずと後輩がついてくる。今の中学生な、それが好成績を残せ、この激戦区の中で甲子園を結果的に近くする方法だと思っている。」
「さすが山口。」
「俺も同じこと思っていたよ、チームを見て・・。」
「さすが、茜だ・・。」
「そりゃ経験かな。働く人の。」
茜は笑った。
「さて、期末テストを開始します。」
シャープペンを握る手は野球部部員の中にはコーヒー豆を握った感覚とどこか似たことがある。
茜の方法は野球部員達の成績改善にも効果を得たらしい。




