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第24話 VSメタルスライム―前編―

 立ちはだかるスライムを倒して奥へと進むと通路の奥へと行き当たった。

 ちなみにスライムの核を回収したおかげでステータスも上昇している。よほど錬金術師が優秀だったのかステータスの上昇幅も大きい。


「失礼します」


 通路の一番奥にあった部屋を開ける。

 その部屋は、先に入った部屋よりも大きな部屋で隣にある部屋との間にあった壁を壊して作られていた。


 あの部屋が書斎なのだとしたらこの部屋は実験室なのか大きな機材のような物と人が余裕で入れるほどの培養槽が部屋の中央に置かれていた。


 同じように部屋の中を物色するが、本のような物はなく何から探したらいいのか分からない。


「どうやらこの機材でスライムの創造をしていたみたいだ」

「分かるのか?」


 機材に触れて何かを確認していたショウは何か気付いたらしい。


「スライムの体を変質させる魔法陣が埋め込まれていた」

「おお! それは回収できるのか?」


 尋ねられたショウが首を横に振る。


「この魔法陣は培養槽の中に特殊な液体を生み出してスライムを長時間その液体に浸しておくことでスライムの性質を変化させることができるものらしい」

「じゃあ……」

「強力なスライムなら一体を生み出すのに数週間レベルで時間が必要になるし、専用の機材が必要になる」


 機材の用意は可能かもしれないが、設備を用意する場所や時間が必要になる。

 研究に付きっ切りになれるわけではない俺たちではスライムの創造をするメリットがない。


「何か他の事に使えそうか?」

「ダメみたい。この魔法陣はスライムの創造に特化し過ぎていて他の事に使えそうもない」

「そっか」


 なら、諦めた方がいいかもしれない。

 せっかくこんな場所まで来たが、スライムの核も手に入ったし、帰ることにしよう……


「何かいるな」


 スライムと何体も戦い続けてスライムの気配に敏感になったのか部屋の隅に何かがいる気配がする。

 俺の言葉を聞いてショウも武器を構える。

 ハルナとレイはさっさと後ろへ下がってしまった。


「銀色の、スライム……?」


 果たして部屋の隅から姿を現したのは銀色のスライム。

 というよりも金属光沢のスライム――メタルスライムだった。


「こいつは、物理耐性を持っているか?」

「ちょっと待ってて」


 スライムの図鑑を持っているハルナに確認する。


 物理耐性を持っているかどうかで対応が変わる。


 だが、スライムはそんな時間すら与えてくれない。

 床の上を滑りながらこちらへと近付いてくる。


「はやっ……!」


 これまでに出会ったスライムとは比べようもないほどの速さで俺たちに近付いてくるとジャンプして飛び掛かって来た。

 避けるわけにはいかない。

 すぐ後ろにはハルナとレイがいる以上、後ろへ行かせるわけにはいかない。


 咄嗟に収納から盾を取り出すとメタルスライムを受け止める。


 --ベチャン!


 メタルスライムの体が盾に当たった瞬間、粘性の体が当たった時とも金属同士がぶつかった時とも違う音が鳴り響く。

 物理耐性は持っていなくてもかなりの頑丈さがあるのは間違いない。


 ショウがメタルスライムの横から槍で叩いてメタルスライムが弾かれる。

 部屋の入口付近で止まるスライムだったが、ダメージがないように起き上がってこちらを警戒する。


「物理攻撃がダメならこっちだ」


 レッドドラゴンの炎を取り出す。

 ただし、今度は掌の収まるほど小さな量で魔力を注いでさらに圧縮させ弾丸のような形状にする。


 収納されてある物の使い方は収納された段階でなんとなく分かるようになっていた。だから王剣の魔力を流せば切れ味が増すという使い方も分かったし、魔力で生み出された炎を魔力で包み込むことによって圧縮させることができるのも分かった。


「行け」


 手から発射されるようなイメージを持つと炎がメタルスライムに向かって飛んで行く。


「は……?」


 しかし、受け止めるように構えて立ち止まったメタルスライムに当たるもののメタルスライムの体を燃やすことも貫通することもなく数秒受け止められると炎が霧散してしまった。


 物理攻撃も魔法攻撃も通用しない。


「だったらこっちだ」


 全ての収納をステータスに反映されるようにする。


 メタルスライムの後ろまで一瞬で回り込む。反応できていない。

 剣を振り下ろす。


「硬っ!」


 メタルスライムの体に剣が当たった瞬間、俺の手に衝撃が伝わって来て両手が痺れてしまう。

 武器を取り落とすようなことはしなかったが、メタルスライムの強さを警戒して後ろへと下がる。


「おいおい、今の俺はレッドドラゴンを倒した時と同じくらいにステータスが戻っているんだぞ」

「え、スライムの核ってそんなにステータスを上げてくれたのか?」


 ショウの疑問ももっともだ。


 館に来る前に俺は収納から全員ステータスが500ずつ上がるようにレッドドラゴンの素材を提供している。アイテムボックスの性能が俺の収納魔法より劣化しているせいで提供した素材はそれ以上の力があったと知られている。

 普通に考えれば1500以上ステータスが下がっていると思われる。


 だが、ステータス上昇はそこまで単純ではなかった。

 レッドドラゴンの指を最初に1本収納した時には1000上昇したが、次に同じような大きさの指を収納した時には300ほどの上昇しかできなかった。


 どうやら収納してある素材の価値によってステータスの上昇率は変化するらしく同じような素材を持っていた場合には大幅な上昇は見込めない。


 そのため仲間に渡した素材は俺が収納した場合にはステータスが1000上昇するレッドドラゴンの指1本だけでステータスを500上昇させていた。

 そして、俺の収納にはレッドドラゴンの素材は他にもたくさんあるのでステータスの下降は500ほどでしかなかった。しかも、減少したステータス分はスライムの核で回復されている。


 平均8000のステータスで倒せないスライムが目の前にいる!


「見つけた!」


 メタルスライムを警戒していると本を確認していたハルナが声を上げた。

 俺たちにも見えるように銀色のスライムが描かれたページを見せてくれる。っていうか最後のページじゃないか!


「この本によるとメタルスライムはこの館にいた錬金術師の最高傑作で最強の硬度を持っていて、その防御力はドラゴンの一撃にも耐えられるですって!」

「え……経験値をたくさんくれるんじゃないの?」


 スライムを倒しまくったおかげでレベルも4に上昇していた。

 メタルスライムを倒せばレベルがさらに上昇すればいいな、なんて考えていたんだけど世の中そこまで上手くいかない。


 いや、それよりも気にする言葉があった。


「ドラゴンの一撃にすら耐えられる……?」


 レッドドラゴンを倒した時と同等までステータスを上昇させてもメタルスライムは耐えられてしまう。

 ゲームのメタルスライムもダメージを与えにくい相手だったけど、リアルで遭遇したメタルスライムもダメージを与えにくい……与えられない相手でしたか。


 メタルスライムを倒すにはステータスが足りない。


「どうする!?」


 全ての攻撃が弾かれる。

 おそらく溶解能力を持っていない可能性が高い。ここはハルナとレイにも戦わせて倒す方法を探るか。それともどうにかしてメタルスライムから逃げる方法を探すべきか?


 圧倒的なステータスを手に入れたのに倒せない相手がいるとは思いもしなかった。


レッドドラゴンを何体も収納しても無限に強くなれるわけではない。

さらに強くなる為には他にも色々と珍しい素材を手に入れる必要があります。

まあ、この後でブルードラゴンやらグリーンドラゴンを倒して同じようにパワーアップしていくんですけどねw

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