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第14話 世界の狭間で

キリのいいところで止めたところ短いので先に投稿しました。

 『門』の向こう側へと到達した俺。

 この状況は魔神にとって既に詰んでいる。

 俺の目的は異世界へ行った全員を元の世界へと帰還させること。そっちの方は既に達成された。


 そして、もう一つの目的。

 時間を越えて過去に召喚された他の人たちを蘇らせる。


「既に実証実験は自分で済ませた」


 さすがに怖すぎて事前に試すことはできなかった。俺が、そのまま死んでしまった場合には誰が今を生きている人たちを元の世界へ帰すのか。試すのなら、せめて帰した後でなければならない。

 だが、先ほど魔神の手によって消滅させられた時に試して成功した。


 やる事は単純だ。

 別世界と繋がることの出来る魔法道具。

 さらには、ありとあらゆる物体を持ち帰ることの出来る【収納魔法】。


 二つを組み合わせることで既に死んだはずの人間を手元へ呼び寄せる。


「クリア」


 疑似的な死者の蘇生。

 これには膨大なエネルギーを必要とする。それこそ一つの世界にある全てのエネルギーを凝縮させる必要があるが、世界の狭間であるこの場所には奇跡を可能にするだけのエネルギーが満ちている。


 収納に100人以上の人間が眠っていることを確認する。

 今は、肉体と魂が揃っているだけで未覚醒な人間。

 その状態だと『生命』よりも『物体』に近しい、と判断されるのか問題なく収納されている。


「これで召喚された事に対する全ての問題は解決だ」


 残りは、今後も召喚されないようにする事だ。

 魔神は『門』の向こう側へ行った俺には何もできない、脅威にならないと判断して放置することにした。


「だけど、それは最悪な一手だ」


 たとえ倒すことができなかったとしても俺を攻撃し続け、元の世界にまで追い込む必要があった。

 この狭間に一人で至った勝利は確定した。


「お前の【存在】は本当に脅威だ。俺の【収納魔法】でさえ触れただけで破壊することができる」


 圧倒的な力を誇る能力。

 ただし、本人も気付いていない致命的な欠陥を抱えている。


「ただし、必要な条件を全て満たしている場合の話だ」


 魔神が能力を行使する為には膨大な瘴気が必要になる。

 だからこそ、魔神は瘴気の集まる『楽園への門』の傍から動くことができなかった。自分で率先して動けば人類を効果的に苦しませるのは簡単だった。それをせずに自分の代理である魔王を立てていたのには地上に出られないという欠点があったからだ。


「もしも、『楽園への門』がなくなればどうなるんだろうな」


 手を翳して『門』を収納する。

 向こうで魔神がどうなったのかは分からない。少なくとも碌なことにはならないだろうけど、今さら興味も湧かない。


 ここまで収納しなかったのは、収納することで『門』に悪影響があるからだ。

 『門』はあそこにあってこそ真価を発揮する。どこか別の場所へ持っていて安全を確保してから時間を掛けて移動することを考えたが、『門』だけを別の場所へ持って行っても起動させる為に必要なエネルギーが足りない。あの場所にあって初めて世界を越えられるほどの力を発揮することができる。

 だから、全員が渡り終えるまで回収することができなかった。


 もっとも、そんなデメリットも俺が一人で利用し、収納されている状態であるなら問題ない。


 『楽園への門』で召喚された直後の『時間』を指定。

 『転移の宝珠』で召喚された教室の『場所』を指定。


 世界を越えるほどの魔法道具を起動させる為に必要なエネルギー。収納内の亜空間には起動に必要なエネルギーが既に満ちている。

 収納したまま使用するなら問題なく使用できる。


「帰ろう。あの日、あの時間の教室へ」


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