閑話
子供の頃読んだお伽話の中には、白馬に乗った王子様が存在していた。
「いっ、た〜い!」
「あはははは!
いい気味よ、ヴァルを誑かした貴方は
其処で一人で寂しく死んでいくのよ。
誰からも見向きもされないでね!
あははっ、其れが相応しいわ。
じゃあね。」
「ま、待って!」
ここまで冒険を共にしてきた仲間の一人が行ってしまう。
振り向きもせず、行ってしまう。
そして仲間は姿を消し、誰も助けには来なかった。
何故私を助けてくれないのだろう?
如何して迎えに来てくれないのだろう?
お伽話のお姫様は何故、あれほど愛されているのだろう。
暗い穴の底で一人、孤独に蝕まれてゆく・・・
このまま、静かに終わる。
−
−−−
−−−−−
ホルボシスの鉱脈では、流星石の痕跡が残されている。
天蓋より零れ落ちた石の魔力はこの地に堕ちて融解し、
広い範囲に散らばってその空間を変質させた。
何の変哲も無かった丘には地下へ伸びる道ができ、其処には今迄誰も見た事のない未知の空間が、
その存在を誰も知らない未知の植生や鉱物、生命などが存在し、
神秘的な空間が広がっていたらしい。
偶々近くの農場で働いていたホルボシス・テルミアントは
宙から堕ちてきた奇妙な光がその丘に堕ちた瞬間を目撃し、
昨日までは無かった洞穴を最初に発見した人物と言われている。
好奇心に駆られたホルボシス・テルミアントは
そこで未知なるナニカと遭遇する。
不思議な輝きを放つ鉱石
不気味な姿をした動植物
不治の病を直す植物の根
不死に近づける動物の血
不朽の神秘性を放つ光景
不可能を可能にする未知との出会い。
未だかつて見たことのない情景に心を奪われたホルボシスは、
見つけたその日のうちに農場を辞めて、その穴の中に一人で通うようになった。
だが暫く経つうちに一人での冒険に限界を感じ始めた。
そうとなれば身近な人間を誘ってみることにした。
村の者は気味が悪いと断った。
街の者はそんな話がある訳ないと馬鹿にした。
都の者は誰も耳を貸さなかった。
その界隈では有名な変わり者と噂され、親類縁者からは呆れられる。
其れでも探求を続けたかったホルボシスは考えた。
「そうだ、お金を払って何かを持って帰って貰えばいい。
そうすれば今迄自分が見つけられなかった物も見つかるかもしれないし、
みんな私の話を信じるだろう。」
ホルボシスは早速、私財を投げ打ってお金に変え、
「誰か、私の鉱脈で珍しい物を採掘してくれないか?」
と仕事を作り人を雇った。
一人目は持ち逃げした。
「そんな辺境に仕事があるか」
二人目は一回きりで投げ出した。
「あんな場所で死にたくない。」
三人目は行ったきり帰らなかった。
「やっこさんは死んだよ、あいつに騙されて」
しばらくすると誰も彼の元で仕事をしようという者は居なくなっていた。
ホルボシスは再び途方に暮れた。
「どうせ私の言う事なんて誰も耳を貸さないのだ。」
そう、やさぐれる彼の前にある日
一人の少女が現れた。
「おじさんはどうしてはたらいてないの?」
彼女の一言はホルボシスの心の臓を深く抉る鋭い内容だった。
「何て事を言うんだ君は、
いいかい?私はコレでもまだ26で
仕事だって・・・」
人生の哀愁を漂わせる草臥れたオッサンの様な青年は
必死にいい訳をするかの様に自分が求めている風景の話を捲し立てた。
「へ〜、そんな所があるんだ。
行ってみた〜い!」
誰も耳を貸さなかったホルボシスの話に、彼女は楽しそうに耳を傾けていた。
それから彼が都の公園でボケーとしていると、彼女が姿を見せる様になった。
「ははは、君にも見せてあげたいけど
あそこはとても危険な場所だからね。
だから誰も行きたがらないんだ・・・」
「なーんだ、嘘だったのね。
つまんないの〜」
「嘘じゃ無い!
良いだろう、絶対に一番綺麗な光景を君に見せてあげよう!」
ホルボシスは久しぶりに鉱脈の冒険に出た。
誰も見た事がないような、綺麗な風景を求めて。
そしてそれが遂に見つかった時、公園に彼女は居なかった。
「そんな、約束したのに・・・何故?」
結局、彼女もからかっていただけなのか。
再び抜け殻のような日々が続いた。
酒を浴びながら、今までの探求の成果を振り返る日々。
未知への欲求は決して衰えはしなかったが、一人の力では限界がある。
このまま腐って行くのだろうか、私は?
そんな日々にある時、こんな話を耳にする。
「聞いたかよ?ヒピンス城の姫様が連れ去られたってよ!」
「『誰でも良い、娘を助けた者には願いを叶えてやろう。』
だってよ、都はこの話で持ちきりだ。」
彼が前にする人相書きには彼女の姿が
誰も信じはしなかった私の話を唯一真面目に聞いてくれた彼女の姿が・・・
そうか、だからこの場所に来れなかったのか。
彼女との約束を果たすために、私は今から助けに行く!
待っていてくれ!
再び鉱脈まで帰ると、手懐けた『翼を持った白い馬』に跨り、
彼女に貰った白いハンケチを嗅がせると、天に向かってひと吠えして
翼をはためかせ始める。
「征くぞ、ペガサス!
待ってろよ、今助けに行く!」
これは、『原初の探求者 ホルボシス・テルミアント』の物語
−−
−−
ホルボシス・テルミアントが見つけた鉱脈は
何時しか発見者の名前を付けて呼ばれる様になり、周辺が賑わい、
やがて大きな街となった。
ホルボシスの鉱脈では、今なお未知の発見が為され、
それを求めて探求する事は一般的な事となっていた。
私たちは鉱脈の58階層の坑道を歩いていた。
だけど突然足元の感覚が消え去り、気が付いたら視界が真っ暗になっていた。
(何?一体何なの??)
一瞬の浮遊感の後に、足に地面を掴む感覚があったが、
突然の出来事に上手く対応できず、ずるりと滑って臀部を打ち付ける。
「痛ッ!?」
暗くなった視界に、自然と光が射す上方に目を向ける。
視線の先では其処では一緒にクエストをしていた仲間が顔を覗かせていた。
どうやら先ほどまでたっていた地盤が抜けて下に落ちたらしい。
上方から声が聞こえた。
「ちょっと、平気?大丈夫ー?」
「う、うん。
なんとか」
幸いな事に、足の骨を折ったとか、何処かが切れたとか、
そう言った怪我はしなかった。
「待って、今ロープを垂らすから」
迷宮探索にはこう言ったアクシデントは付き物だ。
そうした経験を積んで人は学んでいき、
安全に、若しくは事故を想定して冒険を進めるのだ。
徐々にロープが垂れ下がってきて、その間に上に戻る準備を整えておく。
薄暗くよく見えないが、あたりをぐるりと見る限りでは
周りには壁が無く、ロープだけで登るには少々頼りない。
僅かに見える周囲の壁面が遠く、
大きな空洞の真ん中をくり抜いた様に落下してしまった事がうかがえる。
こうなったら出来るだけ身を軽くして、
腕の力だけで登らなくてはならない。
何時迄もモタついているとどんな危険が迫るか分からないので不要な荷物は捨てておこう。
・素材の入ったアイテム袋
・携行品
・予備の武器
捨てるには惜しい気がするけど、命には代えられないので最低限必要なものだけを残し、切り詰める。
最悪、護身用の武器や水さえあればどうとでも成る。
そうして身軽になっても尚、
今迄全身で支えてきた装備品の重量が、一気に両の手に加わり、
その重さに顔を顰めながらも、ぐるぐると揺れ動くロープを手繰り寄せて上を目指す。
− ピキピキ
ロープを固定する杭からか
或いはロープを支える仲間の足元からか
岩盤が割れる音が聞こえる。
「ちょっと、早く登って!」
わ、分かってる!
必死でロープを手繰り、上を目指すも、割れるような音もドンドン大きくなる。
そして、ロープを支えていたリーズの表情が急に曇る。
「ごめん、これ以上は無理よ。」
「え?」
「こんな時に言うのも何だけど、
私、あんたの無自覚な部分が嫌いだった。」
− 手を離す
− 岩が崩れる
− 両手の重みが消える。
「いっ、たーい!」
再び穴の底で腰を打ち付ける。
周りではボトボトと落石が地面を打つ。
なんで、如何して?
「足場がスカスカじゃあ、此処まであんたを引き上げる事は無理よ。
悪く思わないよね。」
右手に握ったままのロープの先は、上に延びていない。
「あはははは!
いい気味よ、ヴァルを誑かした貴方は
其処で一人で寂しく死んでいくのよ。
誰からも見向きもされないでね!
あははっ、其れが相応しいわ。
じゃあね。」
「ま、待って!」
お、置いていくつもり?!
私が引き止める声を聞き入れず、足音は遠ざかり静かになった。
暗闇と静寂の中
上に見える小さな光だけが何もない世界を唯一照らすもの。
其処を目指して、先ず壁を探す。
10歩進むと壁に突き当たり、触った壁は滑らかな感触を返す。
抜剣して魔力を灯すと、魔力の炎で剣は燃え盛る。
その明かりで周りを見渡すと、恐ろしい光景が目に映った。
「ひ?!」
思わず剣を落とし、宿した炎も消える。
しかし、その間に目に焼き付いた光景は消えない。
此方に手を伸ばしたまま
必死の形相で顔を崩したまま
何事からか逃れようとした姿のまま
透き通る暗い石の中に閉じ込められた男性の姿が。
恐る恐る再び剣を取り、炎を灯すとこの穴の中の全容が見える。
此方に迫ろうとする男性の姿
女性もいる。
何かから逃げている?
分からない。
上の方に目を向けると、滑らかな壁面が弧を描き、
穴の場所にまでカーブしてドームを築いていた。
恐ろしさを封じた壁に取っ掛かりは無く、登ろうとしても上がれない。
固まったままの人達は囲い込む様にして此方に向いているので、怖くなった私は灯りを消した。
− 大丈夫、きっと誰か通りかかって助けてくれる。
それから、どれ位時間が過ぎただろう。
最早、明かりを灯す為の魔力も残っておらず、
孤独と静寂だけが周りを包み
見上げて見える小さな光だけが頼りだった。
細く
小さい
点滅する
「・・・あ、消えた。」
本当に、一人ぼっちだ。
此処の壁に保たれていると、ズブスブと埋もれていく気がする。
私も彼らの様に、固められて、死ぬのだろうか?
死ぬのは、
怖いな・・・
助けて、
貰えなかったな
白馬に
乗った
王子様に
なんだ、
私
子供、みたい。
でも
思い出したんだ。
憧れてたの
窮地に現れてくれる
王子様に・・・
だから冒険を始めたのかな?
危なくなったら
自分で如何にか
してきたけど。
でも、ここで、お終い。
真っ暗で
真っ黒で
深くて
真っ白
−−−−−
−−−
−
昔々、あるところに一人のお姫様がおりました。
姫はお城の外に出られず、何時も退屈にしていました。
ある日、とうとう城を抜け出して、初めて外の世界を見渡しました。
城の外はとても賑やかで、騒がしい。
人々は忙しなく行き交い、働き、買い求め、交流しています。
お姫様には煌びやかなお城の中よりもずっと輝いて見えました。
けれど、お姫様の目には公園のベンチでどんよりとした空気を発する
一人の男の人に目が行きました。
今まで父親や執政などと言った
少し年の離れた男性としか話したことが無く、
それより若い人と話すことは勇気が要りましたが、声を掛けずにはいられなかったのです。
「おじさんはどうしてはたらいてないの?」
何気ない姫の一言を聞いた男性は悲痛な声をあげ、
必死に言い訳を始めました。
「何て事を言うんだ君は、
いいかい?私はコレでもまだ26で
仕事だって・・・」
余りに必死に言い繕うものだから、彼女は思わず笑ってしまいました。
「あはは、そうなんだね〜」
「さては信じていないだろう?
いいさ、慣れてるよ!
だけどな、君達は何時か思い知るだろう!
『彼奴の言っていた事は本当の事だった。
こんな凄い場所が本当にあったなんて、
彼奴は凄いやつだ』
ってね!」
「へー、おじさんは凄い人なんだね。」
「だから、おじさんじゃ無いとあれ程−」
その人が話す内容はとても新鮮で、
姫の心には見た事も無い光景が沢山広がりました。
− 何時か、行ってみたい。
それからも度々城をコッソリ離れ
公園に行くと、相変わらず草臥れた青年がベンチに腰掛けて黄昏ておりました。
「ははは、君にも見せてあげたいけど
あそこはとても危険な場所だからね。
だから誰も行きたがらないんだ・・・」
そんな事は無い。
私はとても見てみたいのに、
どうしてそんな意地悪なことを言うのか?
「なーんだ、嘘だったのね。
つまんないの〜」
「嘘じゃ無い!
良いだろう、絶対に一番綺麗な光景を君に見せてあげよう!」
青年は何時か必ず見せてくれると言ったので、
それまで城で大人しくお留守番をすることに決めました。
それから暫くすると鳥が手紙を運んできて、遂にこの世で最も綺麗な光景を見せてくれる約束の日が来たのです。
ですが事件が起きました。
期待に胸が広がり、コッソリと城を抜け出した直後にお姫様は誘拐されたのです。
「グヘへー。
助かりたかったらいい子にしてな、
お嬢ちゃん?」
怖いお兄さん達に囲まれて、姫は頷く事しか出来ません。
この日、初めて外がとても恐ろしい場所に思えていて、彼女は泣いてしまいました。
「ふぇぇ〜、助けておじちゃ〜ん!」
「ふへへ、助けなんか来るわけねえべ」
− がはははは〜
姫が絶望仕掛けたその時でした。
「大丈夫ですか、お姫様?」
空飛ぶ白馬に跨った、待ち望んだ青年が助けに来たのでした。
彼は巧みな手綱さばきで白馬を駆り、
誘拐犯達を蹴散らしました。
「グベ?!」
「ブホ!?」
「ちくしょー、覚えてろ〜!」
やがて白馬は空を駆け、二人だけになると、彼女は泣いてしまいます。
「うぇぐ・・・グスン・・・」
「姫様、この景色を見せ下さい。
とても美しいですよ。」
そう促され、辺りを見渡せば
とても大きなお月様が海に浮かび上がっておりました。
「綺麗・・・」
あまりの綺麗さに、一度は恐ろしかった世界も塗り変わり、
再び不思議に満ちた綺麗な世界が胸に広がり、
お姫様は泣いてしまいましたとさ。
そんな、『ヒピンス城の月光姫』のお話。
−−
−−
どうやら私、まだ死んで無かったみたい。
夢を見ていたの、
お伽話のお姫様の。
「もし〜?」
あれからお姫様はどうなったんだっけ?
あの青年は夢を叶えられのかな?
一人ぼっちは、さみしいな・・・
「もしもし〜?」
「うわっ?!」
「あ、目が覚めましたか〜?
おひめさま?」
びっ、びっくりしたー!
何、夢?
人が居るけど夢じゃ無いよね??
「夢じゃ有りませんよ、
お・ひ・め・さ・ま
・・・クスッ」
えっ?
夢じゃない?
私、助かるの??
「あーお姫様、お労しい。
この様な場所で一人、さぞ辛かった事でしょう。
ご安心下さい。
貴方の騎士が助けに参りました。」
あれ?
お姫様??
私、お姫様??
「嗚呼しかし姫よ、お許し下さい。
貴方をお救いする為に幾たびも苦労を重ねて参りました。
私自身も姫の心づけがない限り、
ともに滅びゆく運命と相成りましよう。
忍び無い私めをお叱りください。」
心づけ?
共倒れ?
お叱り?
私、姫様?
姫の感謝の印?
えっ、キスしちゃうの?私??
イヤー!!
恥ずかしいー!!
「嗚呼、姫様。
ほんのお気持ちだけで良いのです。
姫の感謝の印が頂けるのであれば?」
嘘っ?!
本当にキスしちゃうんだ、私
やだ、どうしよう?
そういえばこの人は誰?
松明の光で照らされる。
爽やかな笑顔
引き締まった肉体
優美に跪いた姿勢
やだ、カッコイイ・・・
彼の赤い瞳に吸い込まれるように顔が近づき、口付けが行われる。
ぽわ〜〜ん・・・
「えーっと、財布は・・・この辺りか?」
ぽわ〜〜ん・・・
「おお、ええモン持っとるなあ、姉ちゃん」
ぽわ〜〜ん・・・
!!
ぽわわ〜ん・・・
「ん?コレか??
おお、コレかな。
あちゃ〜、少しだけ足りません!
追加徴収せねば!」
ぽわわ〜ん・・・
・・・
・・・っは?!
イケナイ!
長年の妄想が現実になったショックで
妄想の世界から帰って来れなくなるところだったわ、
危なかった。
え、本当に現実だよね?
妄想なんかじゃないよね?
「グヘヘ、お嬢ちゃん。
命が惜しけりゃ、ちゃんと言う通りにしな。」
ゆ、誘拐犯ですって?
そんな、私はさっき王子様に助けてられて・・・
ユグドラシル物語みたいに攫われちゃったの?
ええ〜、どうなっちゃうの?私?
それからどうなったのかはあまり覚えていない。
誘拐犯が無茶苦茶な要求をして来て、
王子様のランスロットを助ける為に
言いなりに・・・
ハッ、ランスロット?!
ダメよ、貴方の体は今!
そんな、私の為にどうして・・・
− 君が・・・好きだからさ・・・
イヤー!
ランスロットー!!
「いや、
ダメよ、
そんな・・・」
「おー随分ええモン持っとるの〜お嬢ちゃん。
今日はワシの家で泊まらんかえ?
大丈夫、ワシは優しいからのぉ」
「バカか、爺さん?
あんたのようなシワシワは
ばーさんと仲良くしとけよ。
取り敢えず、何があったか知らないが
服を着たらどうだ?」
− もっと脱げ
− ヒャホー
− やだ、あの子ああいう趣味なのかしら?
− マジかよ、あれ炎妃じゃね?
− 強くて美人で露出狂なのか・・・
− ヒャホー
って、あれ?
ここ、街の広場じゃん?
ドウイウコト??
って?!
うそっ、ヤダッ−
下着姿で放り出され、あまつさえインナートップを
自ら脱ぎ去ろうとしていた私には様々な視線が向けられていて
堪らず逃げ出した。
− うへへ
そうか私、王子様が来て助けてくれたんだ。
もっとお話したいな・・・
「グヘヘ、お嬢ちゃん
命が惜しけりゃ 身包み全部置いていきな」
「邪魔よ!」
「プゲラ?!」
「「「アニキ‼︎?」」」
やっと、やっと見つけた。
待っててね、私の王子様。
夢見がちな乙女の物語が幕を開ける。