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33.幼なじみっていいですね!


はい、父様にエルモさんから聞いた話をしたら、ちっちゃくガッツポされて、夕食の時間に思わず果実水とエールで乾杯したアーサー君です。

自分で言うのもなんですが、喜びかたが3才児のそれじゃないですよね。完全におっさんですな。


さて今日は、ディアナ母様との魔法の練習日です。

忙しい仕事の合間を縫って、週に何度かは魔法の練習を入れてくれる母様には感謝ですね。


実際、アーサー君はまだまだ属性魔法や『普通』の魔法については、不得手なのですごく参考になります。


あの迷子事件以来、エリカはすっかり俺にべったりになりまして、ちょくちょくうちに遊びに来ています。

前にも話しましたがエリカもこの勉強に参加していまして、今では普通にウォーターボールを飛ばしたりしていますね。


「さて、アーサーは火魔法の変化を練習しましょう。それと、エリカちゃんはウォーターボールの操縦ね」


庭で母様から今日の課題を出されまして、今日も練習が始まりました。



「「はーい!」」


俺とエリカは元気よく返事をして、少し離れてからそれぞれ練習を開始します。


俺は庭に作られた練習用のスペースに向けて、2個のファイヤーボールを作り出すと、一呼吸置いてそれを撃ち出します。

もちろんここでは無属性で銃身は作らず、純粋に魔力で打ち出しています。



これは母様の指示でなんですね。

発射速度の早い俺の魔法は、他の魔法使いに見られると厄介なことになるかもしれないから、普通の魔法も練習しておきなさいって事だそうです。



俺は発射したファイヤーボールの操作に集中して、着弾のタイミングを測ります。

そして着弾の瞬間に炎を操るイメージで、普通は四散する炎を一方向に向けようと頑張ります。


ですが、着弾の衝撃で奥の方に流れた炎が、わずかに持ち上がっただけで、結局は消えてしまいました。

これも独学で魔法を練習していた頃は分からなかったのですが、魔法は打ちっぱなしだけではなく、発射後も自由に操れるんですよ。


どうしても俺の場合、物理法則が固定観念として自由な発想を邪魔しているようで、まだうまくできていません。


「もっと生き物を扱うように、炎へイメージを伝えてみなさい」



そう言って母様は同じようにファイヤーボールを撃ち出すと、そのボールは着弾と同時に火柱のように上に吹き上がります。


なるほど奥が深いですね。頑張りましょう。



そうして悪戦苦闘していると、母様はエリカの方にかかりっきりでアドバイスしているみたいです。


「そう、上手ね。水の動きに目を向けながら、形を維持するのが無意識にできれば完璧よ!」



おやおや、エリカは2個作り出した水玉を空中で自在に動かして、水玉を融合させたり再び分離させたりと、かなり高度な操作をしています。

これは魔法の先輩として、負けていられませんね。


俺はいったん手を止めて、どうしたら自在に魔法がコントロールできるかを考えます。

魔力をいつものように有線でつなげばいいのかな? それとも無線のように魔力を飛ばせばいいのか?


いつまでも悩んでいても仕方ないので、両方を試してみることにしました。


まずはいつものように無属性で糸を作り、手のひらに作ったファイヤーボールにつなぎます。

そうして撃ち出すと、着弾までのコントロールが簡単にできますね。カーブとか楽勝で可能になりました。

ですが着弾すると接続が切れるのか、やはり炎が立ち上がることなく、ベシャっと潰れてしまいます。


次は魔力のイメージを電波に変えてみます。

電波とか目に見えませんので漠然とした感覚ですが、イメージに指令を乗せて魔法に指示する感覚とでも言いましょうか。


すると思い通りに飛んだファイヤーボールは、着弾と同時に火柱を立てる事に成功しましたよ。

なるほどね。着弾してから『立て』とイメージするんじゃなくて、事前にファイヤーボールにイメージを伝えておけばいいみたいです。



だいたいコツがつかめたので、同じように火の玉を生み出して有線で自在に操作して、自分の周囲を1周させてから目標に向かって飛ばします。

そして着弾と同時に、3方向に炎を拭きあげるように指令を飛ばしてあり、イメージ通りに吹き上がりました。


なにこれ楽しい!


調子に乗ってイメージを変えて炎の壁や、格子状の炎を作り出して色々と遊んでみます。



あれ?

なんか、静かになったぞ?


俺が振り返ると、母様が呆れた様子で腕を組みながらこちらを見ています。

いや腕を組んでそんなに胸部装甲を強調しなくても、十分驚異的ですから…… 胸囲的に。


エリカといえば、なんだか目をキラキラさせてこっちを見てます。



「まったくアーサーったら、いつも教えようとする事の先をやっちゃうんだから!」



えへ、またやってしまいました。


「アーサー君、すごいよ!」



エリカの優しさが心に沁みます。もっと褒めて、俺は褒められて伸びるんだよ!


あら、心の声が通じたんでしょうか?

母様も小さくため息を吐きながら、笑って俺の頭をなでてくれます。


「まったく、詠唱も触媒もなしで魔法を発動させるだけでも凄いのに、もう上級魔法まで使いこなせるんだから、我が子ながら呆れるわね」



そう言いながらも母様は、柔らかく微笑んでおりまして、素直に嬉しくなります。

前世のジジイときたら、褒めるなんて全くありませんでしたし、攻撃のギアを上げるのが、頭撫でるかわりでしたからね。


「さて、今日の勉強はこのくらいかしら?」



そう言うと母様の目がキラーンと光りました。はいはい、いつものパターンですね。


「それじゃ、私の練習にも付き合ってもらうわよ!」



ここのところ、母様は得意分野の火魔法を強化する練習をしておりまして、俺はそれに付き合っております。

とくに無属性を使用した火魔法の圧縮がメインですね。


HEATの魔法は、『お話』の時に原理を教えましたが早々に諦めたみたいです。


「アーサー君、頑張って!」


ベンチに腰掛けて足をぶらぶらさせながら、エリカがこちらに手を振ってくれます。


よっしゃ、頑張りましょうかね!






こうして魔法の練習を終えた俺とエリカは、おやつを食べながら色々と話に花を咲かせております。


どっちかといえば、エリカの話に俺が相槌をうってるって感じですが。


「そうだ! 今日ねお手紙が届いてもうすぐお父様が帰ってくるって!」


「へぇ、良かったね!ずっと離れていたからエリカも寂しかったんじゃない?」


俺はエリカの言葉に、笑顔を浮かべながら答えます。


「ううん、ちょっとは寂しかったけど、アーサー君がいっつも遊んでくれたから、寂しくなかったよ」



おおぅ、上目づかいのちょっぴりはにかみ気味で、そのセリフは反則です。

今のセリフをロイドさんに聞かれたら、全力で殺しにきそうな気がしますよ。


あの人は元斥候職らしいので、夜道が歩けなくなるかもしれません。


「ふふ、ありがとねエリカ!」



とりあえずは、機嫌を損ねないように笑顔のまま、エリカの頭をナデナデします。

グリーンの髪がサラサラしてて、撫で心地が良いですね~


エリカも気持ちよさそうにしてますね。



「ぐぬぬ、あれが幼子の威力。これは末恐ろしいですね」



お茶のおかわりを淹れてくれるリーラが、何か変なことをつぶやいております。

だから3才児に変な対抗心を燃やすんじゃない。まったくもう。



俺はエリカの頭を撫でながら、リーラにちょっと冷ややかな視線を向けました。

あっ、このメイド、吹けない口笛の真似しながら白々しくごまかしやがったよ!



でも、ロイドさんが帰ってくるって事は、黒焔狼の代金が手元に来るってことですね。

楽しみではありますが、元手が来たら色々と忙しくなるんですよね。


エリカと遊べる時間も、ちょっと少なくなるかもしれません。


それなら、今のうちに十分にモフ……ゴホン、遊んでおきましょう!



ちょっと短め(´・ω・`)

もう数話で、幼年編は終わりの予定です。



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