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11.体を鍛えましょう

はい、昨夜は枕を濡らして眠ったアーサー君です。

なんかロー・テンションで夕食をとったせいで、上の空ですよ。


でも記憶の泉があるので、内容はバッチリ覚えていますよ。ビバ!チート。


なんでもマイ・ダディの昔からの友人らしく、昔話に花を咲かせてましたね。

商人さんはどうやら我が領の御用商人になるべく、セルウィン領を訪れたそうです。

王都の店を畳んでこちらに引っ越してきたという、何とも豪胆な方ですね。


漏れ聞こえてきた話の断片を組み立てると、王都で小さな商いするのと御用商人としてここで商売をするのでは、だいたいトントンらしいっすよ。

やっぱ御用商人って強いっすわ。コネって大切!



さあ、本日も新しい朝が来ました。

昨日の敗戦をいつまでも引きずってはいられません。

アーサー君の朝は多忙なのです。


アーサー ……朝…… ちょっと苦しいか。


痛っ! 誰だ!石投げたやつ!!



さて本日も手早く朝食を済ませてから、ダッシュで庭へ逃走します。

ここでグズグズしていると、メイド長 兼 教育ママのエリーナさんに捕食……じゃなかった、捕獲されます。



無事に逃げ出せたので、例の池の畔に向けて小走りで向かいます。

いやはや昨日の午前中は、調子に乗って魔力が枯渇する寸前まで練習してしまいましたから、ペース配分を考えなければなりません。



という訳で、本日は午前中に体を鍛えて、午後から魔法の練習をする予定です。

ほら、魔法使いって非力なイメージじゃないっすか。

今のうちから体を鍛えておけば、それなりに動けるようになると思うんですよ。


まあ、俺ぐらいの規格外チートな存在なら、どっちも極められると思うんですけどね!(ドヤァ


えっ?前世では、魔法使いにジョブチェンジする寸前(享年28歳)だったろって? うっさいハゲ!



うん、なんだか一人ツッコミで悲しくなってきたから、話題を変えよう。


今日はちょっとした確認と、今後のメニューを考えるのです。


うーんと、大きく背伸びをしてから、準備体操をしていきます。程よく体がほぐれた所で、さてはじめましょう。

俺は前世で覚えていた型の動きを、ゆっくりと思い出しながらなぞっていきます。


最初は空手の型、もうひとつは合気道の型、さらに古流の柔術の型をひと通りためして行きましょう。


いやはやジジイに文字通り叩きこまれた動きって、忘れないもんだね。

ただしアーサー君になってからは、頭は覚えてるけど体がついていかないんですわ。


まあ、前世とは体が変わってるんだし、肉体の記憶はイチから作り直しだわな。


ん? なんでそんな武道の動きを習得してるのか、説明しろって?



いや、ほら、前世では両親が早くに亡くなって、田舎のジジイに引き取られたんだわ。

そこでどういう訳か、ジジイは農家兼業で道場を開いてたのよ。


ま~あ、引き出しの多いジジイで、覚えているだけでも『空手・柔道・柔術・合気道・剣術・居合・弓術・暗器、手裏剣』と色々教えてた。

ど田舎のそんなに大きくない道場だったはずなんだけど、そこそこ門下生が多かったね。


たまに外人さんとか、明らかに何人か殺してるよね?って感じの人も来てたな。ジジイにポンポン倒されてたけど……



当然ながら、引き取られてからは早朝から朝稽古、学校から帰ってからも、みっちり仕込まれたのよ。

夏とか冬休みは、何を勘違いしたのか山ごもりとか合宿に連れ歩かれて、死にそうになったのも一度や二度じゃなかった。


前世では通り魔を半殺しにしたりとか、数えるぐらいしか役に立たなかったけど、こっちの世界なら使用する機会が頻繁に訪れそうな気がする。うん。



ひと通り体を動かすと、どうにも筋力がないのか体幹が出来上がってないのか、動きがフラフラしちゃいますね。

このへんは成長するに従って解消すると思うのですが、バランス感覚なんかも養うトレーニングが必要かもしれません。


なんだろう、神様からチート貰ってるはずなのに、やっぱり修練は欠かせないようです。

体を動かすのは嫌いじゃないんで、いいんですけどね。



ちょっと汗をかいたので、上着を脱ぎ小川の水で喉を潤します。

化学物質とか危ない病気とか気にせずに、水が飲めるっていいですよね。


一息ついてから、次はちょっと実験です。

生まれてこの方ずっと、無属性の魔法をコネコネしてきましたよね。


こやつの使い道を、ずーっと考えていたんですよ。

そんで思いついたのが、武器化出来ないかと思ったんですね。


それで昨日、魔法で撃ち出したらそこそこ使えましたので実験してみようと。ええ、魔法の武器化とかロマンですよね。



そんな訳で、まずは無属性の魔力を練ります。ねりねり、ねりねり……


そこから棒状に変化させてみました。まずはこの状態でテストかな?


正眼で棒を構えてみます。おお、ちゃんと重さも握り心地もあるぞ、これ。

3才児の体格ですから、長さは30センチ程度の長さですがこれで精一杯ですな。



適当な立木に向けて袈裟懸けに振り下ろします。

コン! と小気味良い音がひびきました。


うん、前世でも社畜中は木刀を振る機会もありませんでしたから、この手に響く衝撃は懐かしいですね。


ん?ありゃ、こりゃダメだわ……


よく見るとまっすぐだった棒状の魔力体が、湾曲してますがな。

うーん、込める魔力の量が少なかったのかなぁ?


もう少し魔力の量を増やして、さらに練ってみましょう。


よし、もう一度打ち込んでみます。


カン! ふむ、今回は曲がりませんでしたね。

初回のキズよりも2回目のキズの方が、わずかに食い込みが大きいですな。


衝撃や攻撃力も、魔力量に比例するんでしょうかね?


魔力を練るのに少し時間がかかりますが、これなら十分に武器として使えますね。


さて、ここからが本番です。

記憶にある短刀を頭の中に描いていきます。


イメージが肝心です。あの鋭い切っ先や、触れただけで切れそうなやいばに、柄の握り具合……


ジジイの武器コレクションの中でも、俺のお気に入りだったあの短刀をイメージしていきます。



ぐおっ、これはゴッソリ魔力を持っていかれる……



3割ほどの魔力を消費して、短刀を生み出した俺は集中を切らさないように、自分の腕よりも太い枝に振り下ろす。


ヒュコッ!っと軽い音がして、生樹の枝が見事に両断されました。


おお!鋭い切れ味!



っと、驚いたら集中が乱れて、短刀が消えてしまいました。

これじゃあ、実戦の中では使用するのは難しいかもしれませんね。

ちょっと集中が乱れたら、武器が消えるようじゃ、危なっかしいったらありゃしません。


まずは棒を出して、打ち込みの練習からはじめましょうかね。

集中と無属性の修練になるから、まずは焦らずにそこから取り組みましょう。


カコン! カコン! 今日の目標は、とりあえず打ち込み百本!


カコン! カコン! カコン! くっ…… 「へぶっ!」


…… うぅ、これは―― いい訓練になるかもしれません。


疲れて集中が切れてきたら、いきなり棒が軟体に変化しまして、肩から木に激突してしまいました。


こら!そこの人! 棒が軟体に……プププッ。


とか、アーサー君まだそんなお年ごろじゃないですから!

むしろこれからですからね!



この世界に生まれてから、ケガらしいケガはしたことがなかったのですが、打ち身って地味に痛いですよね。

ですが、これでやっと回復魔法も、リーラの肩こり以外に使用できます。


手のひらに魔力を集めてから、回復魔法をイメージします。

リーラの肩こりの時は血行回復でしたが、今回は打ち身で破壊された筋組織を修復するイメージで行います。


おお、じんわりと温かい感触がして、ものすごい速さで肩の痛みが引いていきます。

うん、ぐるぐる腕を回してみても、すっかり痛みがなくなりましたよ。


ついでにヒリヒリする手のひらにも、回復魔法をかけておきます。

はふぅ、剣を握った時からマメは覚悟してましたが、手のひらもすっかり元通りですね。


ああ、前世でジジイにしごかれている時に回復魔法があれば、どれだけ助けられたろう。


何回モザイクの人の所に、逝き――逝かされかけた事か……


あっ、ホントだったらパンチパーマの人のところ…… なのかな?


まあ、いいや。



さて、脱線はこのぐらいにして、まじめに取り組みましょう。




カコン! カコン! カコン!……




午前中は汗だくになるまで、棒を振り続けましたとさ!




アーサー・セルウィン (3歳)

体力   :31/37

魔力   :48/81

攻撃力 :16

防御力 :12

素早さ  :17


状態  :通常


スキル :風魔法(初級) 火魔法(初級) 水魔法(初級) 聖属性魔法(初級) 無属性魔法(中級) 剣術(初級)(New!!)

     

      真理の目 限界突破 記憶の泉 武道の心得(New!!)


功罪、称号: 聖杯を受けし者 女神の祝福



次の更新は夜になる予定

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