表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/113

9.色々と実験してみます



多分、天才魔法少年のアーサー君です。

皆様、異世界で生きていくには、常識とか自重とか色々必要なようです。



昨日の練習はリーラが燃え尽きてしまったので、結局そのままお流れになりました。

行きはリーラが手を引いてくれたんですが、帰りは俺が手を引かなきゃならなくなりまして、屋敷のみんなから「何したんだ?」って目で見られちゃいましたよ。



えっ?報告<カミングアウト>はどうなったかって?


リーラいわく、「言っても信じてくれない」 だそうです。


てへっ、やり過ぎちゃいました。




そんな訳で本日も朝ごはんを食べてから、「庭で遊んできます!」と子供らしく宣言して、練習場にやって来ました。


リーラ? いちいちリアクションとるのが面倒なんで、置いてきました。



さて、今日も元気に魔法の練習に励みましょう。

昨日は期せずして水魔法→氷魔法にクラスアップしましたが、ステータスには変化がないので、あれも水魔法になるのかなぁ?


まだ試してないのは、火と風と無属性っすね。


ああ、無属性って言うのは純粋な魔力を可視化したモノなんですが、『サルでも分かる魔法入門』には無属性って書いてなかったんですよね。

でもステータスには書いてあるって事は、存在するのに認められてないのかしら?


うーん、判らん。でもこの無属性は結構便利なんですよね。

なにせ生まれてからこの方、無属性の魔力こねくり回してましたから。


リーラや家族の胸像作ったり、前世で好きだったフィギュア作ったり……

今では右手にりんご、左手にバナナとか簡単なものなら作れるようになってます。



「この無属性って、同じように飛ばせるのかなぁ?」



気になったことは、レッツ実験してみましょう!


無属性の成形はお手の物ですので、素早くビー玉くらいの無属性魔法を練り上げます。


属性魔法の要領で飛ばすと、ボスンと小さなくぼみが出来ましたね。

発射は出来ましたが、やっぱり射出方法がネックになっている気がします。


昨日も感じたんですが、撃ち出すには掌から出る魔力を使うのですが、それが何かロスしているような気がするんですよ。


なんて言うんですかね?


若干反動があるわけで、これにも、作用⇔反作用が働いていると思うんですが、どうも横方向に力が逃げている感じです。


ふ~む、どうやればロスをなくせるんだろう?

同じように無属性を練ってビー玉を作りますが、今度は手のひら全体ではなく撃ち出すビー玉の真下にだけ射出用の魔力を集めてみます。


ボシュン!っと先程よりも速度が上がった気がしますね。さっきよりはマシですがそれでも何か、魔力をロスしてる感じが否めないんですよねぇ。


前世の記憶で物を撃ち出す記憶といえば、鉄砲とか大砲でしょうか?

『記憶の泉』で知識を引っ張りだして、あれこれ考えてから、無属性で小さな筒とその中に入るビー玉をイメージして、形を作ってみます。

うん、これなら左右のロスは少なくなると思う。


暴発したらどうしようとか、ちょっとドキドキしながらも、同じように土手に向けて発射!


バシュン! という、これまでよりも大きめの音と反動で発射されたビー玉は、土煙を上げて土手にめり込みました。


やったね!


これを実践で使えるようにするには、1発だけじゃダメだし、射程とか命中精度も見ないといけません。

ついでに言えば他の魔法も、まだまだ改良の余地ありです。


時間はあるので、じっくり取り組みましょう。


今日はこの無属性について、集中して練習したいと思います。


次に土手までトテトテ歩いて行って、枝を使って大きめの ◎ を書きます。

命中率のテストですね。



池の畔まで離れてから、もう一度筒とビー玉を生成します。

大体10メートルほど離れたでしょうか?さあ、ぼっち魔法射的大会開始です。



よーく狙って…… って、掌が邪魔で照準が出来ません!


むぅ、これは意外な盲点でした。指を開いてなんとかターゲットが見えるようにして、狙いを微調整します。


バシュン! むむっ、円の外側に着弾しました。

続けて、バシュン! 今度は、円内の右下ですね。


それから5発ほど撃ってみましたが、どうにも狙いが安定しなくて、着弾は1メートルくらいに広がってしまっています。


思っていたよりも中々難しいですね。

良くあるマンガやラノベの主人公なら、ここでチートを発揮して百発百中となるはずですが、現実は甘くありません。


何がいけないんだろう?イメージの精度かな?照準がハッキリしないのも、一因の気がします。


池の畔で石に腰掛けて、一人であれこれと考えているうちに、知識の泉から何か記憶が出てきます。

そうだ、弾の回転と形状を変えてみましょう。


何かのテレビ番組でやっていた銃器の特集が、鮮明に目の前に再生されます。

ああ、そうだ。ライフリングだっけ。


そうそう、アパートのテレビで契約してた海外放送だよ。暇つぶしに見てたディ○カバリー・チャンネル!

こういう番組は、やっぱ地上波だとあんまりやらないからなぁ……



さっそく円錐状の弾丸と少しキツ目にしたバレルを作って、掌を的に向けてみます。


ドシュッ!! うぉっ、これまでとは比較にならない速度と反動です。


反動にびっくりしましたが、上がった土煙は狙った的の、ど真ん中をえぐったようです。

ちょっと3才児の細腕にはキツイ反動なので、左手で右手の手首を支えて撃ってみましょう。


ドシュッ!!ドシュッ!!ドシュッ!! っと、おお! ほぼ狙った的の円内に全弾命中ですよ!


まだ、イメージと狙いに時間がかかりますが、これならある程度使えそうですね~



今度はちょっと離れた的を狙ってみましょう。


周囲を見回してみると、100メートルほど離れた場所に、おあつらえ向きの岩があります。

そこに狙いを定めてドシュッ!!っとね。


近距離だとあっという間に着弾しちゃって目で追いづらいけど、おぅおぅ少し離れるとスピードと弾道がよく見えますねぇ。


ロケット花火くらいのスピードで撃ち出された弾丸が、ちょっと山なりの弾道で岩に向かって飛んでいきます。

惜しい、岩のすぐ横に着弾です。


慎重に狙ってもう一度撃ってみると、今度は命中したみたいです。

岩がえぐれたのが、遠目に確認できました。岩が抉れただけにえぐい威力です。


ごめん、寒かった?



こうして、お昼前まで練習に熱中していたら、魔力切れ寸前まで頑張ってしまいまして、超絶眠いです。

結果から言えば他の属性魔法も、撃ち出す魔力を変えることで、かなり威力がアップしました。


火魔法は土手にめり込んでから爆発するように燃えるし、風魔法なんかちっちゃいクレーターが出来たぞ、おい!

昨日は氷になった!って喜んだ水魔法は、射出方法変えてから一番地味になっちゃいました。


まあ、火魔法の練習で土手が延焼しそうになった時、手早く消火出来たから一番役に立ったんだけどね。


なんだか、今日一日で土手の形が変わってしまったんですが、見なかったことにしましょう。



しっかし、無属性さまさまですね。

あとは発動のスピードとか、もう少し属性魔法に魔力をつぎ込んだらどうなるかなど、まだまだ試したいことはたくさんあります。


魔力量の増加が、待ち遠しいですね。



眠い目をこすりながら館に引き返してみると、何か見慣れない馬車が停まっていました。

はて?来客の予定なんぞあったかなと、朝食の時を思い返してみます。


ああ…… 早く魔法の練習がしたくて執事長のモーリスが今日の来客や日程を告げる前に、ダッシュで逃亡してました。


まあ、何かあればリーラが知らせてくれるでしょう。

ちょっと眠いので頭が働きません。こりゃ、昼食後はお昼寝コースですな。


部屋に戻ってから眠気と格闘しつつ 『サルでも分かる魔法入門』をパラパラとめくっていたら、リーラが昼食を持ってきてくれました。

この世界では大体一日二食が一般的なんですが、貴族とか裕福な家は大体三食らしいです。


それでも昼は軽めに済ませることが多いらしく、集まって昼食を食べるのは習慣になっていません。

そんな訳で今日の昼食は、サンドイッチ風のパンと果物みたいですね。


育ちざかりだからでしょうか? いつもより猛烈にお腹が空きまして、もぐもぐとパンを平らげて、果実水で一息ついています。




「そういえば、何か馬車が来ていたけど誰か来てるの?」


忘れないうちにと、俺はリーラに庭に停めてあった馬車のことを聞きました。


「ええ、なんでも領主様の昔の知り合いだったという商人の方が、いらっしゃってますよ」


ほほう、商人さんとな。

これは珍しい品や面白い話が聞けるチャンスかも知れませぬなぁ。


「そうなんだ~、その商人さんはすぐ帰っちゃうの?」


「いいえ、数日はご逗留されるとのことですよ」



なら焦ることもないだろう。夕食の席で何か挨拶とか、ご対面の機会があるな。


それよりも今は、この眠気ですよ。食後の眠気と相まって、気を抜くと寝落ちしそうです。



「そっか、僕ねむいから…… お昼寝するね……」


だめだ、睡魔に勝てん。ベッドまでよろよろと歩いて、ポスンと体を投げ出します。

ああ冷たいベッドが心地よい……



「リーラ、おやすみ……」


うん、あっさり夢の世界へレッツゴーです……



「まったく、ぜんぜん子供らしくない非凡な才があるかと思えば、こうして寝ている時は、本当にかわいいですね~」



リーラが何か言っていますが、まあ…… 多分、夢でしょう。 スヤァ……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ