エピローグ
[まだ落ちるぅぅぅ]
始めましてこの小説の主人公、
ただいま一万数千メートル上空落下中
私の名前は西本 紗奈。転生者です。
最初から説明いたしますと、
部活に遅れそうで慌てて学校の階段を駆け下りていたところ足をひねって「あっ、ヤバッ」と思ったがそのまま階段から落ちて即死してしまったようだ。
気が付いたら
氷の神に仕える氷の神獣として一年前、氷の卵から生まれた。最初はビックリしたな、だって氷の神様の宮殿、全部氷で出来ているんだもん。あと神様、今まで神獣を持った事がなかったらしくて私が殻をやぶって出て来るとなんか暴れてた。恐る恐る私を覗き込んだり、われものを扱うように抱き上げられたり、そしてその後お腹が空いたと言うと、わたわたオロオロして新米パパのようだった。結局騒ぎを聞きつけた別の神様にたすけられた。
そしてさっき、前世でも現世でも初めて神様に頼み事をされたのだった。
その内容とは…
〜回想タイム〜
「よし、準備はいいか?」
ウォンと鳴いてこたえた。ある少年を助ければいいんだよね?
そう、ある少年を助けてやってくれというものだった。
それと、さっきの鳴き声を聞いての通り氷の神獣は犬型だ。ぱっと見、犬に翼がはえてて尻尾が三本あるように見えるがオオカミだ。生まれて一年ほどなのでまだまだ子供でチワワ程の大きさしかないし、翼も飛べる程生え揃っていなくて、尻尾は地面を引きずる程長い。
神様は、二年前その少年に命を救われたらしい。神様の命を救うなんてすごい少年だが、今その少年が大変なことになっているから恩返しに助けるらしい。
「その少年の名前はレイだ。さあ行って来い!」がっしり背中をつかまれ、ヒョイっとベランダから下界に放り出された。
……え?
ちょっと待った‼︎私飛べないよ‼︎‼︎
[ぎゃああぁぁぁ‼︎]
こうして天界から下界に落下していたのである。
…そろそろ落下に慣れてきたな。