9/10
-2-
由美にとって、今日ほど薄っぺらな日はなかった。
今日のほとんどを無意識に過ごしている。
なぜ高校に向かったのか。
―千葉がいるから?
なぜすぐ家に帰ってきてしまったのか。
―桜から逃げたかったから?
由美の中で芽生えた感情は、徐々に形作られていく。
―これはなに?
それは彼女を苦しめた。
―これが「好き」ってことなの?
この疑問は心の中でぐるぐると回り続けた。そして、疑問の答えを見出し、確信へとつながった。
―でもだめだ……
自分の部屋に入り、ベッドに飛び込む。
―これは桜もずっと前に経験したことなんだ
―それを今更、横から入るような真似はできない
由美は新たに芽生えた感情に対して蓋することしかできなかった。




