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彼と彼女の音物語  作者: 坂田 ゆう
第二楽章 Where_is_Her_Love_Letter?
7/10

-5-

 渋谷は多くの人で賑わっている。

 冬休みを謳歌している学生が待ち合わせし合い、それぞれの行きたい場所へと向かっていく。その中に(さくら)由美(ゆみ)がいた。

「久しぶりの渋谷だー」

 桜は嬉しそうに笑っている。しかし、由美は浮かない顔をしていた。

「ねえねえ、ちょっと早いけどお昼にしない?」

「そうね、そうしましょ」

 彼女らが向かったのは、チェーン店のファミレスだった。駅から若干遠いが、人はそこそこいる。そのほとんどは彼女らのような受験生だったり、一年生や二年生がたむろっている。

「ねえ、桜」

「ん?」

 桜はドリンクバーで作ったミルクティーを混ぜていた。

「聞きたいことあるんでしょ?」

 由美は決心して、桜に聞いた。

 それでも、桜はミルクティーを混ぜる手は止めない。

「ないよ。だって、聞きたかったことわかっちゃったからなー」

 桜はそう言ってほほ笑んだ。

「由美ってわかりやすいんだもん」

「ごめんなさい」

 今にも消えそうな声で由美は謝った。

「……うん」

「ほんとうにごめんなさい」

 伏せた顔を上げた彼女の目には涙がたまっていた。

「勝手に手紙を見てごめんなさい!」

「……うん」

「手紙を桜の下駄箱に入れてごめんなさい……」

「……うん」

 桜は笑って由美を許した。

 しばらくして桜は由美の目を見て言った。

「本当のこと言ってくれてありがとね」

―由美は手紙を盗んでいないのか……

 料理が来て、すっきりしたような顔で由美と桜は食事をした。

 食べ終わった頃には店が混み始め、早々にファミレスをあとにした。

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