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01---ひとくち
その「一口ちょうだい」が本当に一口だったことが、今までに一度でもあっただろうか。
体に見合った大きな口で、シュークリームを半分ほど奪い取っていく。こうなると分かっていたから、二つ買おうと提案したのに。
「俺は食べないから、って言わなかった?」
「ほら、周りが食べてたら食べたくなる時ってたまにあるじゃん?」
「は? たまに?」
吐き出された低い声に、彼の眉が下がっていく。それに伴うようにして、その身を屈める彼。
ちら、とこちらを見上げるような仕草——所謂、上目遣いなんてものを一体どこで覚えてきたのだろうか。
あぁ、ずるい。意図的に繰り出された技だと分かっているのに、何度見ても怯んでしまうのはどうしてだろう。
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