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その執事、『悪魔』。命綱は女子高生。  作者: 櫻 愛梨
第一章「放課後の図書室、赤い指輪の誘惑」
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第8話「紅い指輪の記憶と、忍び寄る影」

昨夜の激闘が嘘のように訪れた、穏やかな横浜の朝。

しかし、愛梨の指で輝く「紅い指輪」は、昨日よりも深い熱を帯びていました。


「この指輪の真実を、お話しすべき時が来たようです」


ベリトの口から語られる、指輪の恐るべき正体。

それは、魔界の秩序を揺るがす「魔王の心臓」の一部でした。

あまりにも重い宿命を背負わされた愛梨に、ベリトが捧げる新たな誓いとは――。

眩しい朝の光で目が覚めた。昨夜のあの恐ろしい出来事が嘘のように、部屋の中は完璧に片付けられ、割れたはずの窓ガラスも元通りになっている。


「おはようございます、愛梨様。……ふふ、まだ夢心地のようですね」


 枕元には、銀髪を端正に整えたベリトが微笑んで立っていた。彼が手際よく差し出したティーカップからは、爽やかなアールグレイの香りが立ち上る。


「ベリト……。昨日の、あの怪物は……?」

「ご安心を。不浄なものはすべて、私が塵1つ残さず片付けました。貴女の日常を汚すことは、私が許しません」


 ベリトは私の手を取り、指先を優しく撫でた。そこには、あの日から外れない紅い指輪が鈍く光っている。その赤が、昨日よりもどこか深く、生きているかのように熱を持っている気がした。


「愛梨様。……隠し事をするのは、執事として本意ではありません。少し、この指輪のお話をしてもよろしいでしょうか」


 ベリトの表情が、スッと真剣なものに変わる。彼は私の枕元に膝をつき、視線を同じ高さに合わせた。


「この指輪は、ただの装飾品ではありません。これは、かつて魔界を統べた王の『心臓』の一部……。強大な魔力の結晶なのです」

「えっ……魔王の、心臓……?」

「左様です。昨夜の者たちは、その力を奪い、新たな王を自称しようとする野心家たちの手先。……主様、貴女は知らずのうちに、世界の運命を左右する鍵を握ってしまったのです」


 ベリトの紅い瞳に、私の戸惑う顔が映る。あまりに現実離れした話に言葉を失う私に、彼はそっと、誓いを立てるように私の手を両手で包み込んだ。


「怖いですか? ……ですが、どうか忘れないでください。その指輪が貴女を選んだように、私もまた、貴女を選んだのです。この命が尽きるまで、私は貴女だけの盾となり、剣となりましょう」


 彼の大きな手の温もりが、不安で震えそうだった私の心を、静かに溶かしていった。

第8話をお読みいただき、ありがとうございます!


ついに指輪の正体が明らかになりました。「魔王の心臓」……そんなすごいものを愛梨は持っていたんですね。ベリトが異常なまでに過保護だった理由も、少しだけ繋がった気がします。


「私が貴女を選んだのです」というベリトの台詞、執事としての忠誠心以上の何かが混ざっているようで、書いていてドキドキしました!


さて、大きな秘密を知ってしまった愛梨。

次回、第9話では、不安な彼女を元気づけるためにベリトが「ある場所」へ連れ出してくれます。二人の束の間の休息(デート?)をどうぞお楽しみに!

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