第7話「月光の癒やしと、執事の腕の中」
襲い来る敵を退けたベリト。しかし、愛梨の足は恐怖で震えて動けなくなってしまいます。そんな彼女をベリトは優しく抱き上げ……。
黒い霧が消え、部屋に静寂が戻る。窓から差し込む月光が、ベリトの銀髪を静かに照らしていた。
戦っていた時の冷徹な空気は消え、彼はいつもの穏やかな表情で私に向き直る。
「……終わりましたよ、愛梨様。お怪我はありませんか?」
そう言って差し出された彼の手を取ろうとしたけれど、膝がガタガタと震えて力が入らない。そのまま床に崩れ落ちそうになった私の体を、強い力が抱きとめた。
「っ……、ベリト」
「申し訳ありません。怖い思いをさせてしまいましたね」
気がつくと、私の体はふわりと宙に浮いていた。
ベリトが私の膝裏と背中に腕を回し、まるでお姫様を扱うように優しく抱き上げていたのだ。
「えっ、ちょっと……! 自分でお布団まで行けるから!」
「いいえ。主様を歩かせるわけにはいきません。……今夜は、私に甘えてください」
至近距離にある彼の胸板から、規則正しい鼓動が伝わってくる。悪魔なのに、その温もりに私はどうしようもなく安心を感じていた。
彼は私をそっとベッドに横たえると、布団を肩までかけ、私の額に浮いた汗をハンカチで優しく拭った。
「貴女を狙う者は、私がすべて排除いたします。ですから、今は安心しておやすみなさい」
そう囁く彼の瞳には、守護者としての誇りと、言葉にできないほど深い慈愛が宿っていた。
ついにお姫様抱っこが登場しました!戦う姿も素敵ですが、こうして弱っている時に優しくされると、ベリトがもっと特別な存在に見えてきますね。




