第6話「牙を剥く闇、漆黒の守護者」
幸せな余韻に浸る愛梨の耳に届いたのは、不気味な異音と、忍び寄る「不浄な者」の気配。
震える愛梨の前に立ちはだかったのは、銀髪をなびかせた我が身の執事・ベリトでした。
「貴女の瞳には、常に美しいものだけを映していただきたい」
その穏やかな微笑みの裏に隠された、圧倒的な悪魔の力。
愛梨を守るため、ベリトが漆黒の守護者となって横浜の夜を駆け抜けます!
普段の慈愛に満ちた姿からは想像もつかない、冷徹で美しいベリトの戦いが今、始まります。
窓の外から、ガラスを爪で引っかくような不気味な音が響く。
ベリトは静かに私の前に立ち、まるでお茶を淹れる時のように穏やかな所作で、右手を胸に当てた。
「愛梨様。……少々、騒がしい鼠が迷い込んできたようです」
その声はどこまでも優しく、温かい。けれど、彼の周囲に漂う空気は、一瞬にして凍てつくような緊張感に包まれた。
「ベリト、あれは何……?」
「主様が知る必要はありません。貴女の瞳には、常に美しいものだけを映していただきたいですから」
ベリトがそっと指先を鳴らすと、彼の足元から深淵のような漆黒の影が広がり、部屋の床を飲み込んでいく。それは生き物のようにうねり、ベリトの背後で巨大な翼のような形を成した。
「愛梨様、私の後ろへ。……決して、離れてはいけませんよ?」
彼は振り返り、微笑んだ。その瞳は慈愛に満ちているけれど、その奥では紅い炎が静かに燃えている。
ベランダの窓を突き破って侵入してきた黒い影に対し、ベリトは優雅に手を差し出した。
「我が主様に触れようなど……万死に値します。……塵に還りなさい」
ベリトの影から伸びた無数の鋭い刃が、一瞬にして敵を貫く。
返り血一滴、私に飛ばさない完璧な守護。
私は震える手で彼の背中の布地を掴むことしかできなかったけれど、その背中が、世界で一番信頼できる場所に思えた。
第6話をお読みいただき、ありがとうございます!
ベリトの初めての戦闘シーン、いかがでしたか?
普段は「あくねこ」のベリアンのように穏やかで優しい彼ですが、愛梨に害をなすものに対しては一切の容赦をしない……。そんな彼の「過保護すぎる執着」を感じていただけたら嬉しいです。
「主様に触れる者は万死に値する」と言い切るベリトに、書いている私も思わずドキドキしてしまいました!
指輪を狙う敵を退けた二人。
でも、戦いの緊張が解けた後の愛梨は、きっと腰が抜けてしまっているはず。
次回、第7話ではそんな愛梨をベリトがどう甘やかしてくれるのか……どうぞお楽しみに!




