プロローグ:運命を繋ぐ赤
放課後の図書室。窓から差し込む夕陽が、埃の粒をキラキラと輝かせていた。
「……何、これ?」
古い書棚の隙間に落ちていたのは、小箱に入った一粒の赤い宝石——ハートの形をした指輪だった。
何かに導かれるように、私はその指輪を左手の薬指にはめる。
その瞬間、視界が歪み、世界の色が塗り替えられた。
「——っ、……ここ、は?」
気がつくと、私は見知らぬ豪華なホールの中心に立っていた。
呆然とする私の前に、一人の男が音もなく歩み寄ってくる。
漆黒の燕尾服を隙なく着こなし、磨き上げられた靴音が静かに響く。
「……ようやく、お会いできました」
男は私の目の前で、流れるような動作で片膝をついた。
顔を上げると、そこには息を呑むほど端正な顔立ち。けれど、その瞳には凍てつくような冷徹さと、それを焼き尽くすほどの熱い執着が混じり合っている。
彼は私の震える手を取り、指輪のはまった指先に、祈るような口づけを落とした。
「お待ちしておりました、愛梨様。貴女こそが、滅びゆく我ら悪魔のたった一人の『命綱』……そして、私の主です」
「……様? 待って、私はただの女子高生で……」
「いいえ。今日この時から、貴女はこの世界のすべて。……そして、私のすべてです」
立ち上がった彼の背後で、巨大な扉が開かれる。
そこには、私を待ち受ける数多の執事悪魔たちと、見たこともない異世界の景色が広がっていた。
プロローグ、いかがでしたか?
最初に現れた執事・ベリトは、とにかく主様への独占欲が強い男です。
でも実は、この後にもう一人、とってもキュートで小悪魔な「ピンクの髪の執事」も登場します!
タイプの違う悪魔たちに奪い合われる、愛梨の波乱万丈な(?)執事生活が始まります。
次回、彼らの「心の声」が愛梨に聞こえ始めて……!?




