魔王に転生したけどダサい下僕しか産み出せなくてマジ嗚咽
俺、魔王。
名前は無い。
魔王になる前はあったはずなんだけど、覚えてない。
…おっかしいなあ、ガッツリ転生もの小説を書きまくってた事は覚えてるのに。
何となく、事故に巻き込まれて転生することになったって流れは覚えてる。
でもって、大喜びしたんだ。チートがもらえるってんでさ。
魔法が使いたい放題、世界最強。
それが神からもらった俺のチート。
俺には、使命が与えられた。
それは、世界に満ちすぎた魔素を薄めるため…しもべを大量に産みだすこと。
魔素があふれて困ってるから、どんどん好き放題やってくれって言われた。
むしろ…ドバドバ使ってくれないと世界が滅ぶとまで言われて、脅されたのだ。
魔王の役目って、もっとこう…世界征服とか、勇者とバチバチするとかだと思っていたんだけどさ。そんなのは二の次でいいから、とにかく環境保全を最優先しろと念を押された。
魔素が濃すぎると世界が爆発するらしい。ようやく10兆に届いた人口を無駄に散らせるわけにはいかない、お前の手腕にかかっていると力説されて…頷く事しかできなかった。
ココだけの話、責任重大すぎて泣きそうになったわけだが…まあ、それは置いといて。
俺が散らばってる魔素を集めてギュッと丸めると、タマゴっぽいものができる。そこに念をぶち込めば…しもべの元の完成だ。
あとはその辺に置いておけば、自動的に世界中に漂っている魔素を吸収し、勝手に産まれてくるシステム。
転生前は創作好きだったし、キャラメイクも得意だった。
カッコいいやつにクールなやつ、妖艶キャラにドジっ子…魅力的なキャラクターづくりには自信があった。今までさんざん描き殴ってきたファンタジー世界を、自分の力で現実に産み出せる…なんという素晴らしいことか!!
………なーんてね。
「任せろ!」と、調子に乗って胸を張ったのが、間違いだった。
「グへへ♡まおーさまみーっけ!俺、美味い肉食いたいな!!ニクイ、ニクイ!!」
肩から謎の湯気を噴き出しつつ、背中に生えたちょびコウモリの羽をパタパタさせてガニ股で駆けてくる…小太りのにいちゃん…。
「やっば!!呪いの対象者の初期設定…間違えて自分にしちゃいましたぁああ!!マオー様何とかしてくらはい、エグ、エグ…!!!これじゃあ、あたしが触った剣、全部竹の槍になっちゃうよぉ…」
中途半端なビキニアーマー着用でシックスパック丸出しのくせに、小じわが気になるとかで長い前髪を下ろして顔まる隠しのドジっ子()呪い付与剣士のおばちゃん…。
「新しい仲間が増えたッス!!えーっと、どこだったっけな、確か端っこの方?にいると思うけど~!!」
どう見ても厳ついのに甲高い声をした、剛毛に包まれた肉体なのになぜか頭部だけ毛量の少ない鳥頭のおっちゃん…。
「我は闇を統べし者…今宵の月を愛でながら、魔王様と共に…ぐべきゅっ?!アーン、痛いよぅ、転んじゃったよう、紫色の血が、血が~!!!」
恥ずかしいセリフを口にしながら、マントの端っこを踏んで盛大にコケる中二病丸出しの坊主頭のオッドアイの少年…。
魔王の力をフルに使い、うんうん唸ってイメージを注入したはずなのに!!!
産み出すしもべというしもべ、全てがだな!!!
ダサい。
とにかくダサい。
救いようがないほど…ダサい!!!
……なんで?!
転生前の知識を総動員したはずなのに、どうしてこうなった!!!
力を注げば注ぐほどに、やらかした感がハンパないのは…なぜだ!!!
ならばと適当に手を抜けば…キッチリそのまんまで出てくるのはなんでなんだよっ?!
「マオー様のアップリケTシャツ作ってみたは♡」
「うわあ、すごでき!!うちもキターい!!」
「量産しよ、でもってみんなでマオー様ダンス踊ってさ、チックチョックに投稿しようよ!!」
「いいねえ、衣装揃えてさあ、スパイダ子ちゃんだったらすぐ作れるよね♪」
「うん任せてー!」
「ハチマキは絶対いるよね!!うちわも作ろ♡」
「ねえねえこの黄緑色のズボンに合うチョッキ、どれがいいかな??」
「やっぱエメラルドグリーンだね、緑系でそろえると自然感も出てサイコーだよ」
「あ、わかめとかワンポイントにしたら…」
このまま外に出したら、「魔王のセンス壊滅的www」という噂が世界中に広まるのは確実だ。
威厳どころか、魔王ブランドが地に落ちる。
完全にpgr案件、笑いものになること間違いなし!!!
………。
これはマズい。
何とかせねばなるまい。
………。
産み出したしもべたちを世に知らしめよとは…言われていない。
………。
量産だけして、地下帝国でも作ってそこに放っておけば問題はあるまい。
……よし、隠そう。
かくして俺は、ダサいしもべたちを隔離することにしたのである!!
そこそこ世界の魔素濃度が薄まってきた、とある日。
いつものように新しく生み出したしもべたちを地下帝国に放ちに行った俺は、何の気なしに…様子でも窺うかと考え、視察する事を決めた。
完全に予定外であったため、準備万端で俺を迎えるのが常だったしもべたちがワチャワチャしていて面白い。
随分数が増えたが…ボチボチ平和に仲良くやっているようで何よりだ。一般的に悪を担うことの多い魔王勢とはいえ、不要な争いはしたくはないからな…。
「マオー様、こっちも見てってよぅ!!」
「今ね、みんなでいろいろと相談してるの!」
「うめーもんもあるだよ」
しもべたちに引っ張られ、賑やかしい広場に顔を出したら…やけにこう、暑苦しくない事に気が付いた。
いつもなら、閉ざされた扉を開ける前にもわっとダサダサオーラが漂ってくるのに…今日はやけにさらっとしているような。
……これは一体??
「あっ!!マオー様キター!」
「ねえねえこのポシェット見てくださいよう、手作りなのエヘ♡」
「はい、マオー様に今流行りの狐のしっぽアクセサリーあげる!!わー、カッコいい!!」
「魔王様、ぼたもち食ってくかい?」
「魔王様、ズボンのすそは折り返した方がかっこいいよ!」
「おお…我が麗しの魔王様、今宵も斯く美しく…くぺっ?!アーン段差でくじいたー!自慢の爪が折れたよぅ、カッコいい片メガネ割れたー!」
「マオー様、新しい魔法思いついたよ、ファイナルスターヘブンっての、どお?」
「ヤバイッス!!今来たら…アイツがいないことがバレるッス!!」
「アーン、それ言っちゃダメなやつ~!!」
………?!
そう言えば、一番ダサい“湯気ガニ股悪魔”が…いないぞ!!
「まさか……!」
嫌な予感は的中した。
ダサダサオーラを追うと、なんと…街のド真ん中、一番目を引く噴水前にたどり着い
「魔王さまはなぁ、毎晩泣きながら俺たちを作ってんだぞぉ!なのにおめえら、のほほんとありもしねえ噂話で盛り上がりやがって!!イケメン?!普通だし!!カッコいい?むしろヘタレの部類だし!大したことなさそう?!やっつけて平和を取り戻す?!ばか、バカバカバカ!!マオー様はあり余り過ぎて毒になってる魔素を浄化してる、平和の使者なんだからね?!勝手に悪のヒーロー化すんなし!!」
もうもうと湯気を噴き出しながら…魔王の苦悩を大声で叫んでいるガニ股オヤジがああああああアアアア!!!!
鼻水と涙をでろでろこぼしながら訴えかけるおっさん、そして何事かと集まり始めた人々。
ざわつく、街中。
出動する気満々だったらしいキラッキラの勇者まで「え、魔王ってそんな感じなの?」と困惑している。
俺は顔を覆った。
魔王史上、こんな恥ずかしい暴露は前代未聞に違いない……。
………。
もう消えちゃおうかな。
涙をこらえ、ぐっと唇をかみしめた、その時。
「魔王さま、人知れずがんばってるんだね」
「知らなかった…」
「このおっさん、なんか愛嬌あるな…ダサいけど」
「こんな人畜無害そうなしもべを生み出すくらいなんだし、魔王さん、絶対いい人じゃない?」
「むしろ親しみやすい魔王で安心したわ」
好意的な声が聞こえてきて、少しだけ荒んだ心がいやさr
「あ~!!そこにいるのはマオー様!!なになに、お忍び?!すごーい、偶然!!僕もご一緒します♡今ね、マオー様の魅力について演説してたの!!みなさーん、この人がマオー様です、この人すごくいい人なの、安心してね!!」
げえ!!
目敏く見つかったああああああアアア!!!
「今日の遠征はここまでにしますから、一緒に大好物のメロッコヨーグル買いに行きましょうよぉ!昨日ストックなくなっちゃったってへこんでましたもんね!それともお気に入りのベローのスパイシーコロッケ買って食べます?あれ1個38円なのに美味すぎて神ですよね、まだ売ってるといいな♡あ、あとついでにジョンキでお買い得たっぷりみかん缶買って帰りましょ、昨日トリ男爵がナイショで食べちゃってマオー様悲しくて泣いちゃいましたもんね、僕のお小遣いで買ってあげますよ!!」
ちょ!!!
恥ずかしいエピソード垂れ流すのはやめれええエエエエエエ~!!!!
「ホントごく普通の見た目なんだね、うん、色々と…ごめんなさい」
「ベローはね、スパイシーコロッケやめちゃったんだよ…」
「メロッコヨーグル、20円になっちゃったんだよ…?」
「なんかすごく庶民派なんだね」
「魔王様…かわいそう…」
「あの、よかったらこれキズモノのみかんだけど、食べる?」
「これ、エロンのポテトコロッケだけど良かったらどうぞ~!」
「倒すのやめとこうよ…なんか悪いし」
「そうだね」
生温かい視線が、あちらこちら…四方八方から向けられる。
………。
みんな、優しいね……。
恥をかき、腹をくくった俺は、ダサダサなしもべたちを世に放つことを決めた。
中途半端に隠蔽したところで、ダサさはニョキニョキ顔を出しやがて露呈するのだ。
誤魔化すよりも、堂々と晒して胸を張った方が潔かろうってね…。まあ、ヤケクソっていうのかもしんないけど。
「あっ、それ皮の部分は食べないんだよ、中身の方を食べるの!」
「どおりであんまり美味しくないと思った~」
「えーん、間違えて要る方捨てちゃった!」
「じゃあ一緒に作りなおそ、…ってゴメン触っちゃったら竹の槍に~!!」
「ねえねえ、その竹さあ、炊き込みご飯作るのに使ってもいい?」
「ゴールドフィンガーアターック!!」
「おお…実に気持ちのエエ指圧じゃ…なまんだぶ、なまんだぶ…」
「魔王様デザインのエコバッグ新はつばーい!」
「生贄を捧げよ、さすれば我の加護を与え願いを叶えんって、ちょ!ヤダ僕ネズミこわ…なんだモグラか」
「常闇の月影様、モグスケのケガ治してくれてありがとー!」
「ガニさん、ちょっと服のしわ伸ばしたいからそこで立ってて~!」
「しょぉちしたああああアアアア!!」
「ヤバイッス!!おいらのへそくりが消えたッス!!」
「も~、トリさん昨日靴の中に仕込んでたじゃん!!」
「魔王さん、今度よかったらタマゴ分けてくださいよ」
「いいけど…ダサい子産まれてくるよ?」
「カワイイ子のまちがいっしょ♡」
魔王としての威厳は…、失ったのかも、しれない。
けれど…、世界は妙に穏やかになり、優しさで満ちたような気がする。
………。
ダサい下僕たちが逐一吸収してくれるおかげで、魔素の濃度もシャビシャビの薄め状態で安定していることだ。
世界はきっと、これからも平和に続いていくことだろう。
めでたし、めでたし……ってね。
俺はすっかり顔なじみになったおばちゃんからもらった、香ばしい焼きたてアップルパイにかじりつきながら…、優しい目を世界に向けるのだった。
AIに書いてもらった原本はこっちに置いてあります(*'ω'*)
https://ncode.syosetu.com/n9505lp/4




