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女聖騎士、赴任先がよりによって海賊国家でした  作者: なぎゃなぎ


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8/12

8話~知識をもったバカはさらに迷惑です~

挿絵(By みてみん)

「……またか。」


海兵の教育を始めて、1カ月が経過した。

“エロ目的”を与えると、彼らの成長は目覚ましく、文字の読み書きもそこそこ出来るようになってきた。


しかし――。

ラブレターの話を持ち出した時点で、この事態を想定しておくべきだったと、エナは深く反省していた。


毎日のように、部屋の前にラブレターが置かれるようになってしまったのだ。


エナはそれらを手に取り、自室に戻って一つひとつ読んでいく。


「エナを見るとむらむらがとまらねぇ!! 抱きしめてぇ!!!」

――これはラブレターではなくセクハラだ。


「俺の彼女になってくれ!!」

――お前は誰だ?


「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」

――怖い……。


「▼?」

――これは……スカートをめくったあいつだな。今度、もう一度ぶっ飛ばすか。


 


コンコンコン。


エナが手紙を読んでいると、ノックの音がした。


「どうぞ」


返事をすると、スティアナがずかずかと部屋へ入ってくる。


「どうしましたか、王妃?」


「む? うちのアホ共が、わらわに挑戦状を書いてきおってな。

字も書けん奴らがここまでできたのは大したもんじゃと思ってな」


「挑戦状……? どんな内容だったのですか?」


「見てみよ」


---

おじょうへ


おれはだいすきです。

いつかたおします。

---


「え? これ、ラブレターじゃないですか」


「我が国を乗っ取る宣言じゃろ?」


「いえいえ! 最初に“大好き”って……!」


「む? "俺は大好き"じゃぞ? 自分が好きで、自分のために国を取るってことじゃろ?」


「いえいえ! これはスティアナ王妃が大好きで、結婚して王様になりたいっていう意思表示ですよ!! 

こんなに熱い気持ちの人がいるじゃないですか!」


「いいや! これはわらわへの挑戦状じゃ! 

明日、わらわもお主の授業に参加して、犯人と戦うぞ!!」


言い放つと、スティアナは楽しげに部屋を出ていった。


……あの嬉しそうな顔は、好かれているのが嬉しいのか、明日喧嘩するのが楽しみなのか――。

エナは不安な夜を過ごすことになった。


 


* * *


翌日の授業。案の定、スティアナは乱入してきた。


「おーーーい! 注目じゃーーーーーー!! わらわにこの挑戦状を叩きつけた者、出てくるがよい!!」


……本当に来たよ。


海兵たちはざわつく。


「お嬢に挑戦状!?」

「なんて無謀な奴だ……」

「お嬢の奔放さ……癒されるぜ……」


そして――絶対に1人はいる。変なのが。


「そ……その手紙は……」


手紙を見つけて、1人が立ち上がる。


「をを! 海賊Aか!! 表に出ろ!!」


「ちげぇますよ! お嬢!!」


「何が違うんじゃ?」


「昨日話したじゃねぇっすか! お嬢、俺に肩揉み好きかって!?

だから、“お嬢の肩ならいつでも揉むんで、いつ肩押すか”って手紙を書いたんでさぁ!」


「む?」


---

おじょうへ


おれはだいすきです。

いつかたおします。

---


「……」

「……」


沈黙が流れた後---


「なるほど! じゃあこれから揉んでくれ!! エナが“これはプロポーズだ”とか言っておったぞ」


そう言って、スティアナは海賊Aを連れて外へ出ていった。


残されたエナは、真っ赤になってうつむいている。


「……あの……なんていうか、お年頃っすから……」

「恋愛脳、悪くねぇっすよ。女の子らしくて可愛いス」


海兵たちの下手すぎるフォローが、エナの羞恥をさらに加速させるのだった。

読んで頂き、ありがとうございます!

今回は初めての試みとして、“ギャグ特化”の作品に挑戦してみました。

これまでのように「書きたいものを書く」ではなく、

「読んでくださる皆さんに楽しんでもらいたい」という想いで仕上げています。

もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と感じて頂けましたら、

ぜひブクマ・リアクション・レビュー・感想で教えてください!

それが次の執筆の大きな力になります✨


※もし反応があまり良くなければ、今後の方向性の判断材料にもさせて頂くつもりです。

そのため、ちょっとだけ厳しめの評価も感謝しながら受け止めます!

(ちょっとだからね! めちゃくちゃ言われると泣くからね!)


この作品は全27話構成で、毎週火・木・土に更新予定です。

(時間は固定ではありません)

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