4話~帰国の聖騎士はやはり変態でした~
翌朝、件のブーメランパンツ男ことバカーナは、本国ジールド・ルーンへ帰ることとなった。
エナやスティアナ王妃、その他のフォーランド海兵たちも港の船着き場へと集まっている。
少し遅れてバカーナが姿を現す。
今回の装いは――上半身は聖騎士の鎧、そして下半身はやはりブーメランパンツ。
荘厳で神聖な鎧が、変態要素と同居しているのだった。
あの格好でジールド・ルーンに戻ったら、きっと盛大に怒られるだろう。
* * *
少し海兵やスティアナと会話を交わした後、バカーナはエナのもとへやって来た。
「聖騎士は品行方正で国民の見本になるべき存在です。そのような佇まいは、今後おつつしみください」
エナは目を合わせずに告げる。
「聖騎士の仕事は国民を守ることだ」
真顔で答えるバカーナ。
昨日の変態ぶりとは別人のようだった。……下半身以外は。
「結局、何も引き継ぎできませんでしたね」
「引き継ぐ内容なんてねぇよ。王妃は遊びたいだけで悪さはしない。俺たちはフォーランドが悪さをしないように見張るだけだ」
「……」
エナは視線をそらす。
「お前……そういう仕草の一つ一つが、あれだな」
「なんですか?」
「そそられる」
ドゴォ!!
エナの蹴りがバカーナの股間を直撃した。
「ぐほぉ!!」
うずくまるバカーナ。
「本当にいい加減にしてください!!」
「いや!まてまて!! 本当にもう少し優しくだな!」
「うっさい!! さっさと帰れ!!」
バカーナは股間を押さえながら船へと引きずられていった。
* * *
「……本当に、この国はどうなってるんですか」
エナのため息が潮風に溶けていった。
「あやつはいい仕事をしとったぞ」
横にやって来たスティアナが声を掛けてきた。
今日はスリングビキニではなく――だが、王妃というよりは海賊のような格好をしている。
この人も絶対にどこかおかしい……。
「どんな仕事をなさっていたんですか?」
「昨日も良い仕事じゃった」
「良い仕事?」
「ふむ。わらわと"かいがらアート"じゃ。お主を砂浜で迎えようと思ったんじゃが、アホがアホなことをして予定が狂ったわい。かっかっか!!」
「それは仕事ではありません! えっ!? じゃああなた達が水着だったのって……」
「決まっておろう? 砂浜で遊んでおったからじゃ。これから行くか?」
「行きません!! そんなことをする暇があるなら、この港の修繕をしてください! 所々木が腐ってます!!」
「うるさいのぉ~……。わらわはこれから昔なじみの酒場へ行って、からかってこなければいかんのじゃ。直したきゃ直しておいても良いぞ」
そう言い残し、スティアナは街へと歩き出した。
「ちょ! ここは国の出入り口ですよ!!」
「そこが使いやすいから使っとるだけじゃ。この国は四方海に囲まれとるから、入りたい所から出入りすればいいぞーーー!」
* * *
「……本当に、私はここで何を引き継げばいいんですか」
エナのぼやきが、潮風に虚しく響いていった。
読んで頂き、ありがとうございます!
今回は初めての試みとして、“ギャグ特化”の作品に挑戦してみました。
これまでのように「書きたいものを書く」ではなく、
「読んでくださる皆さんに楽しんでもらいたい」という想いで仕上げています。
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この作品は全27話構成で、毎週火・木・土に更新予定です。
(時間は固定ではありません)




