25話~未来が見える能力は人生の楽しみを奪うようです~
翌朝―――
宿屋の1階で食事と旅支度を終え、外に出ると、宿屋の入り口で大量のラズベルド(薬草)と共に土下座している海賊Bの姿が視界に入った。
エナは予想もできない光景に頭の整理が追いつかない。
「エナ公すまなかった! 俺が不謹慎だった!!」
「え……いや……え?」
スカートめくりから始まり、数々のセクハラ・変態行為を繰り返してきた海賊B。
今回もいつものノリで、いつの間にか打ち解けていると思っていたエナは、突然の謝罪に返事に困っていた。
スティアナが唖然とするエナの横を通り過ぎ、海賊Bの頭を踏みつける。
その口角は少し上がっていた。
「王妃のわらわを無視してエナに謝罪とは、中々に良い根性しとるではないか?」
「お嬢はエナ公の為に怒っただけでさぁ! 俺はエナに許してもらいてぇです!」
「ほぉほぉ、女の機嫌を取るなら100万束の花束と相場が決まっておるのに、こんな味気の無い葉っぱを用意してかの?」
「へ……へい。エナ公は自分の魔力を消費しているのに、まだ村人の回復をしようとしてたんで、負担を少しでも軽くしてやろうって思いやして……。」
海賊Bが答えると、スティアナは足をどける。
「ふん。女心は分からんがエナの心は分かるとな? むかつくほど賢くなったの?
エナ! この薬草をどうしたい?」
スティアナがエナに尋ねる。
「そ……それは、この村の方に寄付してあげたいですが……。」
昨晩、スティアナにこの村の人間の回復をすることを禁じられている。
恐らくまた怒られると思いながらエナが答えると―――
スティアナは大笑いし、全員に指示を出した。
「海賊ACと僧侶田吾作は、わらわと一緒にこの無駄に多すぎるラズベルドを村長に届けるぞ。
海賊Bとエナは、もう少し休んでから昼過ぎに村の出口で集合じゃ!」
「へいっ!」
全員が同時に返事をした。
* * *
「スティルが分かりません……昨日は村人を癒すなって言ってみたり、今回はすごく協力的だったり……どっちがスティルの本音なんでしょう……。」
宿屋1階で紅茶を飲みながら食事をする海賊Bに、エナが相談を持ちかける。
「お嬢の100発100中の狙撃って、目と耳が極端に優れてるだけじゃなくて、相手の心理とかで簡単な未来予測まで可能らしいぞ。
もしかしたら、俺がエナ公の詫びにラズベルドを取りに行く未来も見えていたのかもしれねぇな。本当におっかねぇ人だ。」
「え? 昨日の時点でこの未来まで見えてたって事!?」
「今日のお嬢は酒も飲んでねぇ。街道に入ったら意味が分かるよ。お嬢の異常な能力の一端がよ。」
(異常な能力?)
* * *
「おう、来たか! じゃあ行くかの。」
意外にも、エナたちより先に村の入り口で待機していたスティアナたちと無事に合流し、一行は旅を続ける―――
バンッ バンッ バンッ
村を出て少し進むと、スティアナが突然発砲した。
「ちょっ、突然どうしたんですか!? って、人が倒れてる!!」
エナは急いで倒れている人に駆け寄ると―――
全員スティアナの弾が当たり、すでに絶命している。
手には抜身のショートソード……。
「スティル! なぜいきなりこの人たちを襲ったんですか!!」
「山賊どもじゃ。もう面倒くさいじゃろ? “おい!身ぐるみ全部と女を置いていけ!”って言われてお主が“お断りします!”って言う流れ。
それこそ茶番じゃ……。」
(茶番って……。)
エナは毎回そのやり取りを本気でやっている。
それを茶番呼ばわりされ、少し恥ずかしくなる。
「だ……だけど山賊とは限らないでしょ!?」
「限るの~。そいつらの歩く足音に殺意や威圧が込められ取った。武器を抜身でわらわ達に近づいておった。違っても悪意しかなかったの。」
言いながらスティアナは歩く足の速度を緩めず、そのまま旅路を進める―――
「シラフのお嬢は500m先までが間合いだからな。だからわざと酔っぱらって遊んでたんだよ。」
海賊Aがエナに小声で教えてくれた。
僧侶田吾作が、また山賊達の身ぐるみを剥いでいた―――
出家したのでは?
読んで頂き、ありがとうございます!
今回は初めての試みとして、“ギャグ特化”の作品に挑戦してみました。
これまでのように「書きたいものを書く」ではなく、
「読んでくださる皆さんに楽しんでもらいたい」という想いで仕上げています。
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この作品は全27話構成で、毎週火・木・土に更新予定です。
(時間は固定ではありません)




