20話~フォーランド王国会議がありました~
昼――。
「ですから、今朝みたいな事件を二度と起こさないためにも、獣Aを故郷に戻してあげる必要があります!」
エナは頑固に主張を続けていた。
「だからよエナ公。そういうのは他人のお前じゃなくて、本人から頼むもんだろ」
海賊Aが面倒くさそうに返す。
「まだ10歳の子どもなんですよ? 交渉なんて無理です!」
「まだ、とは言うが10年も生きておる。もう立派なガキじゃ。
それに肝心の獣A自身、この場にすらおらんぞ。話にならん」
スティアナは笑いながら、酒をぐびっとあおる。
「じゃあ、帰る途中でまた亜人狩りに捕まって奴隷商人に売られたらどうするんですか!」
「そりゃ自己責任じゃ。……助けたのも結局はわらわの気まぐれじゃしの」
(気まぐれであんな大乱闘しないでよ!)
海賊Aが腕を組んで口を開く。
「けどよお嬢。亜人狩りが好き勝手にうろつくのは正直、気分が悪ぃっすね。
冒険者や山賊は酒場のルール守るが、あいつらは評判が悪くて……」
「ふむ……。では海賊A、お主ならどうする? 亜人狩りを禁止すれば闇市の売り上げが落ちるぞ?」
「スティル。この際、闇市の活性化なんて気にしなくてもいいと思います」
エナが即座に言い返す。
「アホ言え。闇市は金が無駄に落ちるから税が美味いんじゃ。
フォーランドに特産品なんぞない以上、闇市は命綱じゃぞ?」
「ですが、世界的に奴隷制度は廃止の流れです。今のままでは必ず破綻します!」
「そうなったら海賊業に――」
「却下です!!」
エナが即座に叩き切る。
場が一瞬しん……と静まり返った。
「……で? どうすんだよ結局」
海賊Aがぼやき、会議はまた漂流し始める。
「嫌がらせが出来れば良いんじゃよ。亜人狩り共にの。禁止はせん。だが、やりづらくする」
スティアナが口角を上げる。
「立ち入り制限とかは?」と海賊A。
「……それだ! 亜人の生活区域に関所を設ければいいんです!」
エナが立ち上がり、勢いよく提案する。
「関所か……」
スティアナはまだ渋い顔をしていたが――
「通行税取りましょうや。闇市に来るまでは俺らのシマ。言い換えりゃ、亜人も資産扱いってことで勝手に動けなくさせる」
海賊Aが言葉を挟む。
(海賊Aなのにけっこう賢い事言ってる!? まぁ、人を資産扱いは道徳的には好きにはなれないけど……)
「ほぉ……意外と頭が回るの。税が上がれば単価も上がる」
スティアナがニヤニヤする。
「単価が上がれば売り上げは落ちる……」
エナが腕を組む。
「売り上げが落ちりゃ、亜人狩りも儲からなくなって足を洗うか他を狩場にする」
海賊Aがまとめる。
「……おもしろい! 禁止せずとも抑制になるし、ついでに利益も出るやもしれん。
よし決めた! 亜人の生息地前に関所を設けて、亜人移動税を取るのじゃ!」
(よしっ!)
エナは心の中でガッツポーズを取った。
「スティル! それなら亜人地帯の下見に行く必要がありますね!」
「……そうじゃな」
「そこに獣Aが付いてきちゃうのは……仕方ないですよね?」
「ぐぬぬ……そう来おったか……。まあ良かろう! 亜人狩り共への嫌がらせついでじゃ!!
海賊A! フォーランド亜人地帯制圧部隊を編成せい! 亜人狩りを黙らせ、亜人どもに関所のルールを叩き込むぞ!」
「へい!」
こうして、フォーランドのぐだぐだ会議から、一大計画が決まったのであった――。
読んで頂き、ありがとうございます!
今回は初めての試みとして、“ギャグ特化”の作品に挑戦してみました。
これまでのように「書きたいものを書く」ではなく、
「読んでくださる皆さんに楽しんでもらいたい」という想いで仕上げています。
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この作品は全27話構成で、毎週火・木・土に更新予定です。
(時間は固定ではありません)




