19話~犯人はこの中にいました!~
昨夜の闇市での戦闘のあと、エナは獣Aを自分の部屋に招き入れ、ベッドで寝かせ、自分は椅子で眠ることにした。
突然知らない場所へ連れてこられ、不安でいっぱいだったろう――そう思うと、やるせない気持ちになる。
同時に、もう闇市に行けなくなるのかという不安もよぎった。
――サコクの料理、美味しかったのに……。
* * *
朝。
椅子で目を覚ましたエナは、ベッドに視線を向けて――息を呑んだ。
「えっ!?」
ベッドは空っぽ。獣Aがいない!
「獣A!! どこ行ったんですかーー!!」
慌てて王宮内を探索するエナ。
「どうしたんでぇ?」
海賊AとCが声を掛けてきた。
「獣Aがいないんです!!」
「はぁ!? どうやって出ていったんで!?」
昨晩、王宮の正門は厳重に閉じられていた。外からも中からも出入りできないはず。
だが、獣Aの姿はどこにもない――。
胸をよぎる一抹の不安。そこへスティアナがやってきた。
「どうしたんじゃ?」
エナは事の次第を説明する。
「ふむ……これは密室殺人じゃな」
「殺人!? まだ殺されたとは限らないですよ! その根拠はなんですか!?」
「ふむ。探偵ものの小説は大抵こういう時、殺人じゃ。そっちの方が面白いからの」
「“面白い”って理由で殺人にしないでください! 作り話なんですから!!」
スティアナは「チッチッチ」と指を鳴らす。
「じゃからお主は甘いんじゃ。推理小説を真似した事件なんかも実際あるらしいんじゃ。
ま、推理小説を30年に1度は読むわらわの推理を聞け」
(……つまり人生で1度しか読んでないじゃん!)
「こういうのは第一発見者が怪しいんじゃ」
「第一発見者?」
「そう……つまり犯人は――エナ! お主じゃ!!」
ジャジャーーーン!!
何故か海賊Cがシンバルを取り出し、派手に鳴らす。
しばしの静寂。
「おいエナ公! ここはお前が泣き崩れて動機を語るシーンだぞ!」
海賊Aがツッコむ。
「いやいやいや!! 違うから! 私に動機なんてありませんから!! 聖騎士として任務を全うしてるだけです!!」
「ん~……本当にそうでしょうかぁ~……?」
スティアナが妙な口調で言い出す。
「エナさん、あなたは狼耳を……自分の耳より可愛いと、そう思ったのでは?」
「思いません! だとしても、だったら私の耳がまだ人間の耳な時点でおかしいでしょ!」
「……言われてみればそうじゃな」
「でも本当にどこに行ったんでしょうか……」
「そういえば海賊Bが獣Aを地下に連れてってるの見やしたぜ?」
海賊Cがあっさり口にする。
(それ一番重要な情報じゃん!? 今までの茶番は何だったの!!)
「地下じゃな。確か“俺でも時々鍵が開いてる時に忍び込む程度なのに、新入りのくせにエナの部屋で堂々と寝るとか許せねぇ”とか言っとったしの」
スティアナが補足する。
(動機まで知ってるの!? しかも人の部屋に忍び込んでた!? 余罪ありまくり!!)
「地下ってことは……」
「拷問じゃな」
海賊Aとスティアナが声を揃える。
「ちょっと!! 呑気にしてられないでしょ!!」
エナたちは慌てて地下へ。
* * *
「ひーーー!」「やめてください!」
拷問部屋から悲鳴が響く。
「海賊B!!」
エナが扉を蹴破り突入すると――獣Aが三角木馬に乗せられ、ろうそくを垂らされていた。
(なんてことを!!)
愕然とするエナの横で、海賊Cが海賊Bに殴りかかる。
「てめぇ!! そのろうそく高けぇんだぞ!! いつかお嬢に使ってもらうつもりだったんだ!! っざけんな!!」
(怒りポイントそこ!?)
エナは慌てて獣Aを救い出した。
ろうそくも三角木馬も、スティアナがまとめて燃やして事件は幕を閉じる。
……あれ? もう一つ、大きな犯罪が残っていたような――。
読んで頂き、ありがとうございます!
今回は初めての試みとして、“ギャグ特化”の作品に挑戦してみました。
これまでのように「書きたいものを書く」ではなく、
「読んでくださる皆さんに楽しんでもらいたい」という想いで仕上げています。
もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と感じて頂けましたら、
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それが次の執筆の大きな力になります✨
※もし反応があまり良くなければ、今後の方向性の判断材料にもさせて頂くつもりです。
そのため、ちょっとだけ厳しめの評価も感謝しながら受け止めます!
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この作品は全27話構成で、毎週火・木・土に更新予定です。
(時間は固定ではありません)




