15話~スティルの趣味を理解しようと思います~
「ううう……。」
翌朝、エナは二日酔いで目が覚めた。
昨日、美味しさにつられて熱燗を飲み過ぎてしまったせいである。
サコクの屋台は、熱燗だけでなくエナの大好きなおでんや刺身、枝豆、さらにはお茶漬けまで出してきた。
特に刺身――生魚を醤油という調味料と、わさびという刺激物に付けて食べる料理は熱燗と相性抜群で、つい杯を重ねてしまったのだ。
「最後に食べたお茶漬けも……美味しかったなぁ……。」
頭痛でくらくらしながらも、エナは昨日のことを思い返す。
――酔った勢いで、闇市を“許す”なんて言ってしまった。
治安を守る者として、失格だ……。
ガチャ。
自己嫌悪に沈むエナの部屋に、海賊Bが入ってきた。
「あれ? 起きてたんすね? お茶漬け持ってきやしたよ」
「ええ。ありがとう」
彼はお茶漬けをテーブルに置くと、何事もなかったかのように部屋を出て行った。
テーブルに座り、お茶漬けを口にするエナ。
――二日酔いにもお茶漬けって効くんだな。
……ん? 今、誰か入ってこなかった?
慌てて部屋の外を確認するが、誰もいない。
「昨日、鍵閉め忘れてた……?」
「おお、朝から元気じゃの。髪がぼさぼさじゃぞ?」
「――あっ、スティル! おはようございます」
髪をいじりながら、エナは慌ててスティアナに挨拶をする。
「二日酔いにはならんかったのか? 今日はわらわは砂浜で“かいがらアート”しとるだけじゃから、ゆっくりしておるがよいぞ」
「あ……はい」
(貝殻アート……。そういえば、私の赴任日にもやってたな……)
そう思いながら再び個室に戻り、お茶漬けを食べ進める。
――たまには、スティルが楽しんでいる“貝殻アート”を見に行ってあげてもいいかもしれない。
仕事や国のことばかりで、彼女自身のことを考えたことはなかったし……。
(今日こそ、少しはスティルを理解してあげたい)
食べ終えると、毒抜きの魔法を自分にかけ、二日酔いを払う。
身なりを整えたエナは、砂浜へと足を運んだ。
* * *
砂浜には、複数の海賊たちと、例によってスリングビキニ姿のスティアナがいた。
(相変わらずだけど……まあ、ここは海だしね)
「おーい! エナーーー!!」
無邪気に手を振り、駆け寄ってくるスティアナ。
奔放すぎて手を焼く相手だが、こういうところは素直に好感が持てる。
「スティル、楽しそうね。あなたの作品を見に来たわ」
エナの言葉に、スティアナは満面の笑みを浮かべる。
「をを! それは嬉しいの! どうじゃ、エナも手伝わんか?」
「えっ? 私、芸術にはあまり詳しくなくて……」
「良いのじゃ。芸術は知識では語れぬ。心のままに楽しめば良い」
「……なかなか深いことを言うのね」
エナは思わず微笑み、「うん。じゃあ、お手伝いします」と頷いた。
――今日は歩み寄ろう。スティルの“芸術”を、一緒に見てみたいから。
読んで頂き、ありがとうございます!
今回は初めての試みとして、“ギャグ特化”の作品に挑戦してみました。
これまでのように「書きたいものを書く」ではなく、
「読んでくださる皆さんに楽しんでもらいたい」という想いで仕上げています。
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この作品は全27話構成で、毎週火・木・土に更新予定です。
(時間は固定ではありません)




