10話~野盗退治で大怪我を負いました~
翌朝―――。
エナは王の間でスティアナを待っていた。
やがて海賊たちもぞろぞろと集まってくる。
街の外へ行くというのに、腰にはナイフやショートソードのみの軽装。
(怪我したら大変なんだから、盾くらい用意しなさいよ……!)
エナは心の中で突っ込んだ。
少しして、スティアナ登場。
―――パジャマ姿にサンダル。腰にはナイフ、手には弓。
髪は鳥の巣のようにバサバサで、大あくびをしながらの登場だった。
「ふぁあああ……。お主ら、おはよう……」
「おはようございます!!」
(いや!突っ込みなさいよ!!!)
「ちょっと、スティル! これから街道警備と山に行くのよ!?
なんで今日に限って、いつもより酷い格好してるのよ!!」
「おお? うるさい堅物は相変わらずうるさいのぉ……。
街中歩くならかっこつけたいが、外の連中相手にかっこつけてどうするんじゃ?」
(いや……気にするところはそこじゃない!!
っていうか、この前はスリングビキニで街中歩いてたくせに!?)
「皆の者! 今日は森に入るからの!!虫除けはちゃんと塗ったか?」
「へい!」
「完璧っす!!」
「うむ、良い心がけじゃ! おやつは300ダーム以内じゃぞ。越えてるやつがおったら手を上げよ」
「お嬢! バナナはおやつに入りますかい?」
「バナナはダメじゃ。おやつには入らんが、形がエロい。今日は18禁は無しじゃ」
「了解っす!」
(なんなのこの人たち!? っていうか、バナナのどこがエロいの!?)
「では行くぞーーー!!」
「おおーーーー!!!」
(おい常識!仕事して!!!)
* * *
フォーランドは王都を出ると、大きな街道が2つに分かれる。
北へ進めば山岳地帯、西へ進めば雷がしきりに落ちる危険地帯。
さらに山岳を越えて北西へ行けば、動物系亜人の暮らす地域に到達するという。
人間が暮らせる土地は、この王都のある海沿いの地帯と山岳地帯のみ。
つまりフォーランド国領の半分は人の住めない土地だ。
この厳しい大陸環境こそ、かつて海賊団がアジトとした理由でもある。
エナたちはスティアナの案内に従い、王都を出て北上していった。
しばらく進むと、さっそく野盗たちが現れた。
エナは腰の剣に手を掛けて身構える。
だが、スティアナは弓を構えることもなく、無防備に野盗へ歩み寄る。
「ちょ、スティル!? あなた弓で後衛でしょ!?」
エナの制止を無視し、スティアナは野盗たちの前に立った。
「おう、お主ら! 相変わらず好き放題じゃの?」
「おっ? お嬢じゃねぇっすか。遠足すか?」
「いや、実はの。もう街道で暴れるの禁止じゃ」
「え? どうしたんですかぃ?」
「後ろの堅物がうるさいんじゃ。お主らが街道で悪さすると、あの堅物がわらわをいじめるって言っとるんじゃ」
「そいつはひでぇっすね!」
(えっ!? 酷いの、私なの!?)
「じゃろ? あいつ、可愛い顔して性格悪いよの?」
「へぇ……悪いっすね」
「今度あいつの悪口を言いふらしていいから、街道での犯罪はやめてくれ」
「分かりやした」
「ついでに薬草採集までは安全にやらせてくれ」
「え? そこまでっすか? 俺らの生活かかってるんですが?」
「まぁ、勘弁してくれ。あいつ、わらわより乳が小さいからの。
それを隠すために、常に鎧を着とるんじゃ」
「なるほど……言いふらしときやす」
野盗たちは素直に森へと帰っていった。
(あれ……? ダメージ食らったの私だけじゃない?
鎧は信仰の象徴なのに……なんで胸の話にされるの!?)
(誰か、心の傷を癒す魔法を私にかけて……!)
「……て、知り合いなの!?」
「そりゃそうだろ。ここは犯罪者の集まりだった国だし」
海賊Aが当たり前のように答える。
(はぁ……なんか色々辛い……)
読んで頂き、ありがとうございます!
今回は初めての試みとして、“ギャグ特化”の作品に挑戦してみました。
これまでのように「書きたいものを書く」ではなく、
「読んでくださる皆さんに楽しんでもらいたい」という想いで仕上げています。
もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と感じて頂けましたら、
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それが次の執筆の大きな力になります✨
※もし反応があまり良くなければ、今後の方向性の判断材料にもさせて頂くつもりです。
そのため、ちょっとだけ厳しめの評価も感謝しながら受け止めます!
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この作品は全27話構成で、毎週火・木・土に更新予定です。
(時間は固定ではありません)




