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パスファインダー  作者: イガゴヨウ
第二章
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第二十一話

頭に浮かんでくるのは、目の前の本に書かれた文字ではなく、昨日の光景だった。

僕はそれを、スワイプするかのように切り替えていく。そして、一つの場面で止めた。


やっぱり最初に、システルとニケが何かを隠していると思い当たるのは――あの校長先生の話を聞いた直後だ。


望遠鏡とか言ってた、あのとき。聞こえてきた話は、他愛もない内容だった。


でも今、思い返せば――あの様子。すでに彼女たちだけが知っている何かがあったような気がする。

共通の認識みたいなもの。


それはいったい何だろう。


望遠鏡、鏡……。


この二つの言葉に、どんな意味がある?


僕は、彼女たちが観光気分でそんなことを言っているのだと思っていたけど、たぶん思い違いをしている。

きっとあれは何か別の理由があってこの二つのことを言っていたに違いない。

でも何度もあの場の会話の内容や、彼女たちの仕草を思い返しても何も思い浮かんでこなかった。


僕はふと思った。そもそも、システルたちはいつ同じ認識を持ったんだ?


昨日は学校にいる間中、僕はほとんどシステルから離れていなかったと思う。

システルとニケだけで話せる時間なんて、家に帰るまでほとんどなかったはずだ。

仮に何か伝えたとしても、そこから目の前にいる僕に気づかれずに話を合わせたり、考えを揃えたりするのは難しかったに違いない。


やはり、始まりはこの時ではなく、もっと前からなんじゃないだろうか?


僕はあの図書室の階段で最初に違和感に気づいたとき、すぐに思い返して、わかったことがあった。


――システルたちが何かを隠していることと、僕がそのとき感じた違和感とは別のものだということに。


なぜなら、その違和感を抱かせた人物が、システルたちじゃないからだ。


それは、校長先生の話よりも、だいぶ遡る。あの人物がなぜあの時あんな行動をしていたのか。

その理由がわからない。目的は……?


それに、違和感を抱かせた人物は、その彼女だけじゃない。リュシーの話をしたとき、あの場にいた全員がそうだし、他にもいる。


もしかしたらシステルも含めて、あの人たちはどこかで繋がっているのだろうか?


でも、中には、そんなことに加わるとはとても思えないような人までいる。


わからない……。


僕は何か見落としがないか、記憶を遡ってみた。


昨日の朝。いつものように、システルはギリギリまで寝ていて、そして遅刻寸前に魔法で校門前に到着した。


それから全力で走って教室まで行った。それはいつものことだし、特に誰とも出くわさなかった。いたって普段通り。


午前中は、ほぼ徹夜でなんとか終わらせた課題を提出して、ほっとした僕たちは、ぼーっと授業を聞いて過ごした。


その間、ニケはどこかに行っていなかった。でも、それもいつものこと。ふらっとどこかに消えるのは、彼女の特技みたいなものだ。


そして昼休み。いつも通り昼食を取るため、裏山のあの東屋に向かった。

ニケも途中までは一緒に来ていたけれど、舞っていた蝶たちを追いかけて、どこかに行ってしまった。

残った僕とシステルは、東屋で昼食を取り、その後は寝不足もあって、睡魔に逆らえず眠りに落ちた。


……うーん、どこもおかしいところはない。


そして、そのあとは普段通り午後の授業を受けた。やっぱり、校長先生の話を聞くまで、僕はシステルのそばを離れてはいない。


強いて言えば、魔法詠唱学の小テストの時くらいか。


でも、あれは教室の中で行われていた。


ああ、思い出した。少しの間ニケはどこかに行っていた。


だけど彼女も僕と同じで、教室の中には入れない。いくらなんでも、テスト中のシステルのスマホにメッセージを送って何かを伝えるとは思えない。


まさか、僕たちがいないテスト中の教室で何かが起きたとか?


いや、テストが終わった後に教室に入ったけど、特に変わった様子は……なかったと思う。


なら、システルがメッセージか何かでニケだけに伝えたとか?


……なんか、それも違うような気がする。


ふと、システルが東屋で昼寝から目覚めたあと、すぐにスマホをいじっていた光景が浮かんだ。


――そうだ。彼女のスマホにメッセージを送っているのは、結局誰なんだろう?

確か、メッセージが届き始めたのは午後からだったと思う。


前にもそのことを考えて、一度ニケじゃないかと疑った。でも、彼女が目の前にいるときでもシステルのスマホにはメッセージが届いていた。


僕はだんだん訳がわからなくなってきて、思い切ってシステルたちに聞いてみようかとも思った。

でも、すぐに思いとどまった。


彼女たちが僕に隠しているということは、もしかしたら何か重要な理由があるのかもしれない。

だとしたら、彼女たちが僕に話してくれるまで、待つべきじゃないだろうか。


重要な理由……。


そう思った瞬間。

急に、頭の隅に追いやって考えないようにしていた疑問が、もたげてきた。


校長先生の話を聞いた、あの会議室。

僕たちの学校の知った顔を除いた人たち――魔女の二人と、第43層世界から来ていたと思われる三人。合わせて五人。


でも、昼休み。僕が感じた転移門をくぐってきた気配は、もっと多かった。

もちろん、それは他の用事で来た人たちかもしれない。


だけど……


僕はほんの少しだけ、毛が逆立つのを感じた。

そして、軽く身震いをした。


* * *


そんなことを思い返していると、突然、背後で魔法の光がきらめいた気配がした。

振り返ると、コンテナとコンテナの間に作られた広場に支援のための物資が魔法で届いたのが見えた。いや、それは乗り物というべきか。


昔、あれが飛んでいる映像を見たことがある。たしか、名前はヘリコプターというんじゃなかったっけ。


僕たちの世界の空ではもう飛んでいない乗り物。化石燃料で動く、それ。


きっと、どこかの博物館に眠っていたものを引っ張り出してきたに違いない。


あんなものまで持ち出すのか。


僕はそれを見て、暗くなっていた気持ちが少しだけ明るくなったのを感じた。


そして、巨大な次光船を見上げる。鮮やかに輝く異世界をつなぐその船は推進機の試運転を始めたのか、フォトン・ドライブが放つ低い金属音が周囲に鳴り始めていた。

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