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BSS

作者: ヤブラコ

いつも通りに最寄りのコンビニに行き、いつも通りのパンを買おうとする。しかし、売り切れだ。仕方なく、アンパンを買う。ラス1だ。そこで、見た事のある気配を感じる。高校まで同じ学校に通っていた幼馴染みの女の子に似ている。家が近かったから、小学校の登校班が同じだったんだ。彼女は、性格、容姿、技能、声質、家の豪華さ、実家の太さ、習い事、全てがそこらの人間より上だった。確認したかったが、話し掛けられずに、コンビニを出た。家に帰っても、面白くもないテレビを見ながら食べることになるため、その場で食べてしまおうと手に持つ。誰かに

ぶつかられ、地面に落としてしまう。砂に塗れたアンパンを見て、「これじゃ食べられないよ〜」と独り言を零しながら、砂が付着していない所を探す。誰に文句を言う訳では無いが、長らく人と会話する機会がなかったので、独り言が癖になってしまっているのだ。すると、ここで、同じ様にアンパンを地面に落としてしまった人を見つける。

それは、好きな人であった。

彼女は、「やあ」的な挨拶をした。僕は、返事に困り、「こんな事するくらいなら普通に話し掛けてよ笑笑」と言った。アンパンは、最後の一つだったから、彼女が仕組んだと、考えたのだ。

僕「久しぶりだね!」

好きな人「そうだね」

僕「今何やってるの?結婚しよ!」

好きな人「実はもうとっくに結婚してるんだよね」彼女、はにかむ。僕、愕然。

好きな人「子供は2人いるし、夫は君も知ってると思うよ」

僕「え、だれ」

好きな人「〇〇〇〇だよ。」彼女は、慈しむ様に、微笑む。

〇〇〇〇は、高3でのクラスメイトで、彼女がいた筈だ。彼は、話し掛け易い雰囲気で、性格も良い。勉強と運動は、それなりだが、友達は多い。

それらを理解し、叫んだ。

あああ!どぼじで告白もせずに実家でぬくぬくと暮らしてしまったんだろう。どぼじで、僕も、彼女も、30歳を超えているんだろう。

どぼじで、僕は働かずに、結婚もしていないんだろう。若い頃に、告白しておけばよかった。どんな結果になろうとも、高校を卒業して15年経って、その時想いを寄せていた人をずっと、“好きな人”呼びは、しなかっただろう。

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