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バス運転手へのクレーム

作者: 雉白書屋

 とあるバス営業所にて……。


「あ、お疲れ様」


「あ、どーも所長。ただいまです」


「あ、ちょっと。んーっと……」


「はい? なんです?」


「……君。えっと、この前、カレー食べていたそうだね」


「カレー? ああ、はい。サービスエリアで。ははは、結構美味かったですよ」


「そうか……じゃあ、申し訳ないけど……クビということで」


「はーい……はい!? クビ!?」


「じゃあ、そういうことだから……」


「いやいやいやクビ!? いや、あのクビ!? え、クビ!?」


「くどいねぇ……服についたカレーの汚れのようだ……」


「いや、上手いこと言ってませんよ。えっと、ちょっと一回落ち着いていいですか?

ふっー……いや、まず所長が落ち着いてくださいよ! 高速バスの運転手がカレー食べてクビって何ですか!」


「でもぉ……クレームが来ちゃってるからさ……じゃあ、元気で」


「いや、え? クレームっていやいやいやいやおかしいでしょ!」


「君、中々飲み込まないねぇ……熱々のジャガイモのようだ」


「それもカレーの具ですか。だから上手くないんですよ。

いや、ですからね、昼休憩中ですよ? サービスエリアのフードコートですよ?

カレーを食べたくらいでクビっておかしいじゃないですか!

そもそもそのクレームがおかしいんですよ! 頭がいかれたクレーマーでしょう!」


「んーでもねぇ、これはお客様のご意見の一つで……」


「いや、ただの悪質な言いがかりですから、そんなもの突っぱねればいいんですよ。

わざわざ、私に聞かせることもないでしょうに気分悪い……。

ほら、前にどっかでありましたよね。救急車がコンビニに寄ったとかでクレームを入れたやつ。

世の中、おかしいよホント……。大体、それでクビって何ですか! そこがおかしいでしょうが!」


「落ちないねぇ君は……」


「カレーが焦げ付いた鍋みたいに、ですか?」


「……」


「言い当てたからって黙らないでくださいよ。はぁ、もういいでしょう。帰りますよ」


「お、了承したということでいいんだね」


「駄目に決まってるでしょう! そもそも人手不足な業界だっていうのにクビって!」


「まあ……だから今なら他の営業所にでも……」


「なんでなんですか……もう、頭が変になりそうですよ。カレーですよ。カレー。カレーでクビってもう……」


「まあ……他にも理由があるからね」


「え?」


「えっと『バスガイドさんにセクハラ』『バスガイドにパワハラ』『客に対してさっさと乗れよなどの暴言が目立つ』『煽り運転してた怖かった』『追い抜かしたバイクにぶつけようとしてた』『窓からゴミを捨ててた』『怒鳴られた』『脅された』など他にもまだまだあり、他の従業員や私の中でよく煮詰めた結果クビということに……」


「……い、いやぁ上手い! クレームの山に煮詰めるだなんて! ははは! 具沢山カレーみたいですねぇ、ね! 所長! よっ! 大好き! カッコいい! 色男! 人格者! クビは撤回! いよっ!」


「コクがないね男だねぇ……君は煮ても焼いても食えないよ」

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