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銀の月 『水族館とイルカと私』

作者: 物語のあるリボン/いろいと

物語のあるリボン作家『いろいと』です

私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります

手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています


関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております



小説は毎朝6時に投稿いたします

ぜひ、ご覧下さい♡



Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい

hhtps://www.instagram.com/iroit0

上を見ればゆらゆらと揺らめく水のカーテン

陽の輝きと思わせるキラキラとパールのようなライトの光は、魚越しに下を歩く人を眩しく煌めかせる

大きなトンネルのようになった水槽は、海の底を歩いている気持ちにさせてくれていた

『キレイだね』

『本当の海の中もこんな感じなのかな?』

『そうかもね♪気持ちいいだろうね』

彼と腕を組んで歩いている私は、おもむろに彼を引っ張り分厚い水槽へと顔を近づけ上を見上げた

海底から見える景色は、きっともっとキラキラしていて、こことは比べ物にならないのだろうと思うと、人魚姫が一瞬羨ましくなった

人魚姫が外の世界に焦がれるように、こちらの世界の私は、しばしの間、海に憧れを抱いていた

しばらく人魚姫になった気分で、海底を楽しんでいる私に彼は『楽しそうだな』と頭の上にポンと手のひらを乗せた



人魚姫になっていた私は、しばらく海の中を泳いでいたのだが、イルカショーがある事を思い出し急いで外の世界へと意識を戻すことにした

『・・・楽しそうでなにより』

『海っていいね♪人魚姫になって想像しながら泳いでたよ♪』

『ふっ。お前のそういうとこ、いいと思う』

『え?なにそれ?はは』

褒めてるのか貶されているのか分からないが、もう一度私の頭へポンポンと子どもをあやすように手のひらを乗せた

それと同時に私は時計の針を確認する

見ると、もうすぐイルカショーが始まる時間を指そうとしていた

『早く行かなきゃ!』

そう言って私は、足早に彼を引っ張りながらショー会場へと向う



ザバーン!!!

ものすごい水しぶきと共にイルカの豪快なジャンプにみとれてしまう

私達が座る場所は、水がかからない席なので、イルカがどれだけ大きくジャンプをしても水がかかる心配をすることはなかった

ショーを安心しながら最後まで見終えた私は、トントントンと階段を下へと降り、イルカのいる水槽の前まで辿り着いた

くるりと振り返り彼に手招きする

水槽の中を覗くと、さっきまで元気よくパフォーマンスを見せてくれていたイルカが、目の前で優雅に楽しそうに泳いでいた

冬の平日に水族館へ来る人は少ないようで、ショーも終わったことで、周りを見てもパラパラと人がいるくらいだった

気持ちよさそうに泳ぐイルカは、私が見えているのだろうか、目の前まで何度もやってきてくれていた

近くにいるイルカに少し興奮気味の私を横目に彼は、黒いコートのポケットに手を突っ込みながら私達の様子を見て、くすっと笑っていた



しばらくイルカと遊んでいると、イルカはぐるぐると勢いよく水槽の中を泳ぎだした

その様子を見ていると、あ!っという暇もなくイルカがその艷やかで滑らかなボディを見せつけ高く舞い踊った

バッシャーン!!!!!

冬の冷たい空気に晒されて、銀色のアラザンのようにも見えてくる水槽の水は、私を頭の上から足元まで包み込んでくれた

『わぁあ!!!!』

一瞬の出来事だったにも関わらず、彼は軽やかにその場を離れたようでずぶ濡れになっているのは私だけのようだった

世の中そんなに甘くない

『大丈夫か?向こう行くぞ』

ぽたぽたと雫を垂らしながら唖然とする私は手を引かれ熱帯雨林館へと入っていった

濡れた服を持っていたハンドタオルで拭いていく

ハーフアップの髪に付けていた『銀の月』が風邪をひきそうなくらい濡れている

『風邪ひくぞ、どこか服買えそうなとこ行くか』

『びっくりしたぁ』

パッと顔をあげだ瞬間、目が合った私達は思わず吹き出ししばらく笑い合った



ゆらゆら煌めく水のカーテンは緩やかに笑い声で波紋を広げる

やっぱり外の世界がいいかもなと少し濡れた私の頭にポンポンと彼が手のひらを乗せた



最後まで読んで下さり、ありがとうございます


色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです


また明日、6時にお会いしましょう♪

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