城南事件帳 2
「Asian」のポルノを見ると、出るわ出るわ。ジャパニーズはヘンタイだ。そう聞いてはいたが、まごうことなきヘンタイ国家だったのだと合点した。
まあ、そもそも、欧米人が日本をそういった色眼鏡で見ていること自体、人種差別の何ものでもない。だいたい、毛唐の連中は平気で自分たち以外の人種を見下す。見下すことをなんとも思っていない。だから、始末に悪いのだ。
そんな中で、「野外セックス」が目に留まった。なんだこりゃ。オレたちもよくやるけど、こいつらジャップも外でヤルの好きなんだな。
そこで見つけたのである。高速を見下ろしながら、靴だけ履いて男女がお繋がりしている写真を。
オー、グレイト!
すっかり、マッコイは魅せられてしまった。こんな緑の山奥で、しかも、目の前はひらけた開放感。こういう中で本能のおもむくままに行動するなんて、なんてステキなんだ!と。これが決定打となって、JETに応募し、日本行きとなったのだった。人間の人生なんて、案外、こんなもんが作用するのかもしれない。とくに、血気盛んな頃は。
今、マッコイは、日本へ行きたいと胸ときめかせた頃の熱い気持ちを再生し、それを反芻しつつ、えっちらおっち腰を動かしていた。野生に戻った、そんな感覚に酔いしれていた。しかし・・・、
「おい、そこの、ガイジン! 何やってる?」
ふいに背後から声が掛かった。が、裸族四人は脇目もふらず、一心不乱に事に打ち込んでいたから、一回や二回声を掛けられたって、気づきゃしない。
「おい、そこの、四人組! 服着なさい、服を!」
少々注意したって、火がついてしまった即席カップルたちに、やめろっていったって、そう簡単に収まるはずもない。かつて、戦前戦後のおかみさんたちが、割烹着を着て、主婦の役割をはたしていた頃、道の真ん中で秋田犬だか柴犬だかの「ポチども」が人目もはばからずお繋がりし始めた場合に必ず、有無も言わさずバケツに水を汲んできて、行為の真っ最中の雄と雌めがけて、バサーッ!!! っと、 水をぶっかけたが、それと同じだ。当人たちの熱冷ましの意味も込めて、ジャブジャブ、深川八幡の水かけ祭りよろしく、やってやりゃあいいんだ。ここは「ひのもとの国」だぞ、火の用心だ! 山火事防止! と。鬼畜米英じゃねえんだから、街中で、チュッチュ、チュッチュ、接吻やハグなんてことをやる習慣なんてないんだよ。「秘め事」ってことばがあるんだから。なんでもかんでもオープンにやりゃあいいってもんじゃねえんだよ。こんなことは、しっぽりやってりゃあいいんだ。しっぽりと。知らねえだろ。ガイジンは。しっぽり、なんて言葉を。
「聞こえないのか? S〇Xやめろ! ここは公共の場だよ! 公然わいせつで逮捕するぞ!」
タイホ、という日本語が効いたのか、四人がほぼ同時に動きをストップさせた。ガイジン二人がそれぞれ下半身は日本人女にくっつけたまま、上半身だけ振り返る。おまえら、ケンタウロスか? プラネタリウムの星座でよく出てくるギリシャ神話の上半身が人、下半身が馬の種族か? 横着な。上半身と下半身ちゃんと一体で振り向けよ。なんだか、未練がましく、申し訳程度に体よじりやがって。それとも、白人は白人なりのエチケットか? チ〇ポは丸見えにさせないっていう意味の?
すると、私服刑事のひとりがすかさず、
「あっ、お前、お尋ね者の、ジョン・マッコイだな!」
「Why ジャパニーズ?」マッコイは突然、素っ頓狂な声を上げた。
「厚切りかっ!」そう突っ込むが早いか、刑事が5,6人でがやがやとマッコイを日本人ヤリ〇ン馬鹿女からひっぱがしては、パトカーへと連行した。他3人も、どうやらドラッグを服用しているらしい匂いがしたため、結局全員、身柄を確保した。




