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城南事件帳 2

 警視庁からの連絡を受けた新潟県警は動いた。 私服の刑事たちが大挙して フジロックの会場に出張った。 コロナ明けで、憂さ晴らしの有象無象が、 冬はスキー場の山の斜面に、新宿渋谷の雑踏を作っているではないか。 これなら、しばし 都会を逃れ、 犯罪者が紛れ込んでいたって、誰も気づかないだろう。

  いくつかの会場に 分かれ、 3日間にわたって イベントが行われる。 当然 演奏を聞き終えた 聴衆も 、ミュージシャン側も、主催者も、人間誰しも腹が減る。それ用に、出店がテントを立てて商いをしている。ラーメン、カレー、焼きそば、弁当など和風だけではない。シシカバブーなど外国料理も多く出ていた。ただ、肝心のマッコイは、どこをどう探しても出てこなかった。トイレにも、 駐車場の車の中にも、もちろん 客席にも。

 一体、どこへ行ったんだ?


  苗場スキー場に東京から車で行く場合、 関越自動車道で湯沢インターチェンジで下車すると一番近い。 その高速を見下ろせる 山の中腹に1台の車が停まった。「わ」 ナンバーだった。 中から出てきたのは誰 あろう、 ジョンマッコイとその 飲み友達の同じく女にモテないタイプのキモい 白人男。さらに、ガイジンというだけでホイホイ くっついてきたおつむのおあったかい 日本人女2人組。

 彼らはつい1時間ほど前に、フジロックの会場で知り合ったばかりだった。 マッコイが所持してた 数グラムの大麻をタトゥーの入ったいかがわしいやつらばかりの集まっている隅っこのテントで、4人で吸った。気分がハイになった。 ハイになると、イタしたくなるのが、こういうバカ者たちの習性のようだ。もちろん、その前に、アルコールを体に入れていたから、 快楽 をとことん 極めてやろうという意図で全員一致していた。

  周りは緑の山々に囲まれて 何とも気持ちがいい。セミもみ~ん、み~んと鳴いている。ちょっと下を覗けば、高速道路を車がぶんぶんと走っていく。人はどうも、こういう見晴らしのいいところで、一発やりたくなるものらしい。

 マッコイはおもむろに、アロハシャツのボタンをはずし始めた。すると、相棒のキモイほうも、マッコイにならった。

「なにやってんの?」

「キャハハ!」

 女たちは恥ずかしがっていたがマッコイが「Take off ! 」と身振りで催促するもんだから、頭のもうろうとなった女たちも、「ブックオフ?」などととんちんかんなことをぬかしながら、結果4人とも山の中腹ですっぽんぽんになった。

「レッツ・パーティー!」

 ろくに日本語を覚えないわりには、こういう和製英語だけはできるマッコイだった。要は、日本人をおちょくっているのだろう。

 マッコイの掛け声で、即席ペア2組がそれぞれ、えっちらおっちら、おっぱじめた。犬のようなおつながりした2組が並んで、高速を見下ろしながら、励んでいる。そば打ちのような威勢のいいぶつかり音と、人々の吐く息づかいだけが山々にこだまする。人というのは、まっこて、どうして、山奥の見晴らしがいい場所で、こういうことをしたくなるものなのだろうか。

 せっかくだからここで、マッコイの心の内に、分け入ってみよう!


 


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