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城南事件帳 2

 数時間後、品川ふ頭の出入国管理事務所前の路上で、車の運転席に眠る朝子の遺体が発見されることになる。


 大崎署の捜査会議では、

「五反田レンタルスペースで発見された結城真由子、戸越銀座商店街近くの自宅で死んでいたコンカフェ嬢・有働明子、さらには、品川ふ頭のベンツ内の川村朝子、この3人の女性に共通するのは、自宅にそれぞれ、日の丸とカナダの国旗が残されていたことだ」署長が一つ目のなぞを提示した。「それと、もう一つ。結城はガイジン、ラムちゃんつまり有働明子も白人、川村はAV社長の川渕とガイジン、がどうやら最重要人物と言っていいことが分かった。その白人らしきガイジンがいったいだれなのか。カナダ人編集者というのが、梅宮刑事が結城真由子の元職場である朝日建設のOLから引っ張ってきた情報だ」

 すると、捜査員のひとりが、「コロナに入るちょっと前、2019年10月に、デイリー新潮がネット上で、記事を出しています。聴覚障害者を装った外国人が日の丸の旗を一本500円で売りつけるとの内容が。その後、フジテレビ他メディアが後追いで報道してます。この小旗ではないでしょうか、3人がそれぞれ自宅に所有していたのは」

 たしかに、それはコロナ禍においても見かけられた。戸越銀座商店街と第二京浜国道が交差した商店街の入り口においても、5,6人、いや、それ以上だったかもしれないが、身なりがいい、余裕のある海外旅行者という出で立ちではない、むしろ、かつかつの生活をしているであろう白人たちが道行く人に、ずうずうしくも、小旗を渡しては、小さな名札のようなメモ書きを日本人に示して見せることで、物乞いをしていたのだ。

 内容としては、「私たちは聴覚障害者です。私たちの旗を500円で購入していただければ素晴らしい日本を知ることが出来ると思います」(出典:デイリー新潮) 人のいい日本人をだまして、巻き上げた金で日本での滞在を延長してやろうかとでもいうような、まことに品性下劣な、差別意識の塊である白人らしい思考方法だ。その頭のなかのこすっからい考え方が、表面化した、つまり、犯罪へと進化しただけなのだ。

 ここで、羽生が意を決して手を挙げた。「このガイジン、白人について、私に、なんとなく、思い当たるフシがありまして・・」すると、署長以下全員がいっせいに振り返った。

「なんだ? 言ってみろ」

「ヨコハマ・トリビューンではないかと」

 一気に部屋の気圧が上昇した。


「あいにく、マッコイは本日、休暇を取っていまして」

 千代田区麹町の新聞社を尋ねた刑事二人に総務部員が恐縮した表情を作る。

「いま、どちらに?」

「自宅は豊島区ですが、おそらく今頃は、夏フェスに趣味と実益を兼ねて出かけているのでは」



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