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城南事件帳 2

 こんな気持ちの悪い、女で喰ってるのが体全体からにじみ出ている男たちが張っていた獲物は、だれあろう人気絶頂のSharだった。麻薬だったか覚醒剤だったかは忘れたが、とにかく違法薬物をやって逮捕されるだろうとの予測のもと、その瞬間を待っていたというわけだ。しかし、どうしたもんか、一日一日とマスコミ陣は少なくなって、しまいにはだれもいなくなった。後日、近所のおばさんや子供たちの噂だと、自宅の奥の 友達の家にかくまってもらっていたらしい。 だから 全く姿を現さなかったのだ。 それにしても自分のせがれが薬物をやっているということがわかったのだったら黙って警察に引き渡すのはしかるべき 親の態度というものではないだろうか。 地元の小学校の校医まで務めている、いうなれば、田舎の表現を使うなら、「名士」ということなのだろう。東京だとあまり、というか、まったく、名士などという、ある意味いやらしいランク付けしたようなヒエラルキーは作らないのだが。とにかく、Sharの母親である女医は、地元のこどもたちや患者に対してはそれはそれは高飛車でえばっていたのに、ことほど左様に、己が腹を痛めたバカ息子についてだけはそれはそれは甘いも甘い、おお甘のバカヤロウだったのである。しかし、そのせがれのせがれもまた同じように薬物で逮捕されるのだから、因果は巡る、血は争えない、というのか、遺伝子なのか環境なのか,いろいろと考えさせられてしまう。

「Sharの実家の坂の上のほうが昔ながらの 木賃2階建てアパートになってたはずです」自分で調べりゃいいものの、会議の最中に部下に聞くずっこけた恵係長への質問に答えた梅宮だが、

「前回、たしか、日の丸とカナダの、2つの小旗がホトケの結城真由子の自室から出たって、梅宮刑事言ってましたよね」

「ええ」たしかに、そうだった。ホトケの自室の下着入れの引き出しの中身を全部ベットの上に並べて、最後残ったのが、国旗二つだったのだ。いま、思い出した梅宮だった。

「それが、不思議なことに、今回も、ラムこと有働明子の部屋には、同じ2つの国旗が見つかったという連絡が入ったんだよ」

 梅宮はピンときた。こりゃ、偶然じゃないな、と。まあ、会議でこうやって課員たちに発表するくらいだから、勘の悪い恵係長でさえ、どうやら、この偶然性はただごとじゃないぞ、と気づいているのだろう。

「これは、もしかすると、同一犯の犯行、すなわち、連続殺人の疑いが出てきた、ということだ」

 やっぱり。バカでも気づくのね。課員たちはみな面従腹背ゆえ、お腹の中で、へえ、こういうこともあるんだ、と感心しっぱなし。今日は結構暑い梅雨だけど、明日あたり、ひょっとして雪でも降るかもね、といぶかった。





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