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城南事件帳 2

 と、横断歩道を宝町方面へと渡りかけた時、「刑事さん!」と強めの、短い声が背中からかかった。なんだ、と振り返ると、制服姿のOLだった。ああ、朝日建設のOLさんか。

 本社ビルに戻るのはちょっと、と躊躇されて、それなら、とその界隈を歩きながら、話を聞くことに。

「彼女、最近、マッチングアプリで、ガイジンと知り合いになったって言ってました」

「ガイジン?」

「ええ、白人です」

「彼女は英語が得意だったんですよね、たしか」

「そうです。話すのも書くのも。だから、本当は留学したいんだ、旅行したいんだって、言ってましたけど、家が厳しくてOKしてもらえないんだって」

「なるほど、ということはその代わりに、自国でガイジンの友達、または、彼氏を見つけた、ってことかもしれませんね」

「そうですね」 

 なんか、さっきから、ビルの谷間をあっちへいったりこっちへいったりと、まあ、要は、ぐるぐるぐるぐる、朝日建設とは反対側の街区を回っているのだが、人の視線を感じるのだ。 男たちと女たちの視線を。なんなんだ。午後の3時ごろだったせいか、煙草休憩で表に出てきているサラリーマン2人組、3人組や、近くのコンビニに甘いものでも買いに出ていったり戻ってきたりしているOLたちが、どうも含んだ眼でこちらをにらんでくる。

 ははあ、不倫カップルと勘違いしてるんだな。そうか、オレもそんな風に見られるんだあ。そう思うと、梅宮はまんざらでもなかった。もっと見て、と、大手を振って、呼び掛けたいくらいだった。話を聞いているのはホトケと同年代の20代後半の、ゆるふわ系女子。いっぽうの梅宮はでぶトド系。どうみても釣り合わない。釣り合うとしたら、お金を媒介させるしかない。

 あのおっさん、イイ事しやがって。今夜の相談でもしてんじゃねえのか? まあ、なにあのジジイ、若い女の子とこれ見よがしに職場デートしちゃって、とかなんとか、噂されているんだろう。いいじゃないか。こっちは、仕事だよ。仕事。刑事のお仕事です。世の中、たしかに、広末涼子と鳥羽シェフみたいな話がビビットに存在するから、世間のそういう話に耳ざといやつらは敏感で仕方ないんだろうよ。まったく。最近は男だけでなく、女も映像を楽しんでるそうだから、今夜、好みのエロメンの『女子向け無料動画』でも楽しみゃあいいじゃないか。

「なんか、手がかりはありますか? そのガイジンについては」

「なんでも、編集者だとかなんだとかやってるって」

「編集者?」




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