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出発

閲覧ありがとうございます。

不定期にはなるかと思いますが、最後まで更新をしたいと考えております。

よろしくお願いいたします。

 16歳の誕生日になり、成人の儀式を受けました。

 

 祭壇に上ると、突然、日蝕のように世界は暗闇に覆われていき、私の右手には「勇者の紋章」が浮かび上がってきたのです。その日、私は勇者になりました。


 それなのに、誰一人、村人は祝福をしてくれませんでした。

 村の長老がやってくると、勇者に選ばれたのだから国王に謁見をして勇者の旅に出なければならない、と告げるのでした。


 村から追い出されて、南の城へ行くことになったと知りました。これから先、もう村に戻ってくることはできないということです。



 それを聞いて、私は「勇者の紋章」の偽物であると思いました。

 村人たちの笑顔を見ると、忌み嫌われていた私を追い出すための計画でしかなかったと思ったのです。


 ただ、自宅に戻って「勇者の紋章」のことを伝えると、妻はとても喜んでくれました。村のしきたりにより、成人になると結婚をすることになるのです。1か月がちましたが、まだ彼女の手すら触ったことがありません。この村では忌み嫌われた者どうし、ずっと、質素な生活をしていたのだから、今更、妻だって村に残りたいなんて思うことはないのかもしれません。しかし、村人たちの対応は許せない気持ちがありました。



 出発の日、気持ちを抑え、妻と一緒に南の城に向けて出発をしました。銀貨2枚で馬を借りると、私たちは南の城に出発したのです。


 これから2週間ほどの旅をすることになります。途中、宿屋で浮浪の吟遊詩人から、南の城には眠りについている異世界人の勇者がいると聞きました。できることなら一度、異世界人の勇者の姿を見たいと思いました。本物の勇者を見てみたいと思ったのです。きっと、私のような偽物とは違うのだろうと思っていました。

 



 それから7日後のことだったと思います。

 事件が起きました。



 私たちは盗賊に襲われたのです。

 

 もちろん、私には戦う力などないのです。

 縄で縛られると、身動きができませんでした。

 山賊の持つ刃が振り下ろされる時、死を覚悟しました。






 次の瞬間、盗賊の悲鳴が聞こえます。

 私は目を開きました。




 目の前には、真っ赤な血を浴びた妻の顔がありました。

 盗賊の返り血を浴びたようです。

 その時、月の光に照らされて「勇者の紋章」が輝いていました。

 


 気が付くと、盗賊たちの震えている姿が見えました。

 それは「勇者の紋章」のせいではなく、妻に対する恐れだったと思います。

 力だけなら妻が最強だったのですから……。



 妻の声が聞こえてきました。


「あなたは生きなくてはならないのよ…。だって、あなたは勇者なのだから……」

 偽の勇者である私は、うっすらと笑みを浮かべていました。

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