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海岸通りのイロハ

作者: hayasinomono

掌編小説です。一話完結です。

 ぼくには、いまいちわからない。

 彼女がぼくに手を振って消えたことも、その後ぼくに助けを求めたのも。

 彼女は、崖の上から勢いよく飛んで死んだ。

 恨みつらみの言葉はなく、ただぼくを愛してるとさけんだ。

 遠くからその光景を傍観するしかなかったのに、彼女はそれでよかったらしい、

「愛があるなら、どこへいけばいい」

 彼女の自殺現場を後にして、ぼくは帰り道をいく。

 吐き捨てる言葉は、戸惑うぼくの声だった。


 眦に街灯の橙が伏す。

 もはや生きた屍となったぼくに、生きる道はあるのかと疑問視した。

 時間に追われ、なすべきことも捨て、世間の一般解釈に淘汰される。

 情けないと思うことすら、情けないと思った。

「あなたの一番好きなところ?」

 生前の彼女に訊いたときの話。

「そうね…。なにも変わらず、わたしを愛してくれることかしら」

 頤に指をやる彼女に、ぼくは恍惚を禁じえなかった。

 彼方とおくの記憶に、あるいはぼくの透明性を張り付けてしまいたい。

 むしばむ歯は、ぼくが何かしらの共鳴を抱いていると知ってほしかった。

 

 海岸通りを歩いてみる。

 この崖の上から飛んだのは、きっと僕の妄想にすぎない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] あううう、現実だったらねいやだな。耐えられないだろうな。後追い自殺してしまいそう。
2019/08/27 04:57 退会済み
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