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約束と契約  作者: オボロ
93/114

#93 使い魔達の想いと企み



「予定通り、マリアと狐がジェシカの家に来たぞ!」


魔界の城のテラスに着地したカラスが、少年の姿に変わり、慌てた様子で走り込んで来た。

バーナード宅の偵察に出掛けていたクロが、マリアと凪の到着を見て、急ぎ報告に戻って来たのだ。

使い魔達は、互いに顔を見合わせ、目を輝かせた。

マリアと凪がジェシカの元へ来る日を心待ちにしていたのは、バーナードとクレアだけではなかった。


グレース家女児誕生の情報を、マリアに教えようと提案したのはノラだった。

ノラは、五人の中で使い魔歴が一番長い。

つまり、一番長くB・Bと共に生きて来た使い魔だった。

そのノラの提案に、他の四人は最初、不思議に思ったが、最近のB・Bの様子から察したヴィゼとバトの二人は、すぐに賛成した。


ノラとヴィゼとバト、三人の考えは同じだった。


マリアと直接会い、話をしてから、B・Bは少し変わってしまった。


ルイーザは、結果的には連れて行くことが出来た。

しかし、ドロシーが居なかったらどうだっただろうかと、考えてしまうのも確かだった。

夢に現れたのは一度だけだし、これと言った決定打を、B・Bは打って居なかったように思えた。

ルイーザの気を一番引いていたのはジャックで、こちら側ではヴィゼだった。


ミリアのことは、早々に諦めてしまった。

マリアが必死に庇っていたから?

マリアが必死に守ろうとしていたから?

マリアと直接話をする前のB・Bだったら、もっと積極的に対象者を誘っていた。

魅了していた。

グレース家の女の子を胎児の頃に連れ去っているだけでは、今の姿を保っていることは出来ないのだから。

なのに、マリアが画策していることに気付いてからは、ミリアを魅了し誘惑することを止めてしまった。

ミリアの為に作ったマリアの香りにうっとりしたり、こっそりミリアに会いに行ったマリアをこっそり見ていたり……。

更には、マリアを守る狐にイライラして、まるで嫉妬しているみたいだった。


ならば、マリアをずっとB・Bの傍に置いておけばいい。


それが、ノラとヴィゼとバトの考えだった。


元々、B・Bは誰かの命を奪うことにためらいがあり、一度、消滅しかけたことがある。

天使の頃の名残のような感情が、まだあるのかもしれない———と、使い魔達は嘆いた。

そんな時、マリアの祖先、レイモンド・グレースの噂を聞いた。

難病の孫息子を助けるために、黒魔術団を探しているという。

悪魔に助けを求めるつもりなのだと知った使い魔達は、B・Bを救う為、旅人を誘導してレイモンドと接触することに成功した。

契約により、B・Bは確実に命のエネルギーを得ることが出来るようになった。

赤ん坊を連れ出す役目は、使い魔達が自ら進んで引き受けた。

そうして、B・Bは、何もせずとも少しずつ力を取り戻すことが出来た。

使い魔達が子供の姿である訳は、消滅し掛けたB・Bの身体を取り戻すために、自分達の力を分けたからだ。

だが、B・Bは、今の美しい姿に戻ってから、まだ30年と経って居なかった。

それは、生まれて来る前の赤ん坊、胎児のエネルギーばかりを得ていたからだ。

生まれて来てからの赤ん坊を連れ出した方が、得られるエネルギーは大きいのに、B・Bは生ませてはいけないと言い続けていた。

仕方なく、使い魔達は提案をした。


生まれて来る前の赤ん坊を連れていくのは、連続で5人までと決めましょう。

次の1人は、必ず生まれて来るまで待ちましょう。

そして、死を望むだろう人間を見つけたなら、積極的に誘って連れて行きましょう。

どうか、このお願いだけは聞いてください。

そうしなければ、B・Bの身体が持ちません。

お願いです。

どうかお願いですから守ってください。


そうして、やっとここまで復活したのに、このままでは再びB・Bの身体は弱り、消滅する可能性だって出て来てしまう。

美しい見た目が崩れてからでは遅いのだ。

使い魔達の力は、まだ補足されていない。

今また消滅し掛けたとしても、再び、身体を取り戻すだけの力を注ぐことは出来ない。

それは、全ての力を注いでも———だ。



ノラたちは、クロとドドにも説明をして、納得させた。

B・Bの為になる事なのだから、クロもドドも反対しなかった。

後は、ジェシカと一緒にマリアも連れて行くだけだ。


「さぁ、始めよう。」

「そうだね。」

「あぁ。」

「おぅ。」

「うん。」


使い魔達は、計画の実行を、開始することにした。






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