表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
約束と契約  作者: オボロ
9/114

#09 使い魔達の侵入


マリアが通うニコラス学園は、11歳から16歳までの男女が通う私立校だ。

各学年にクラスは7つ。

1クラスが16人から20人なので、生徒数は全部で630人前後というところだろう。

歴史を感じさせる造りと、伝統を重んじながらも時代に合った教育方針が人気を集め、遠くからでも我が子を通わせたいと思う親が後を絶たない。

いつの時代も子に対する親の心は変わらず、時として、それがエゴになることにも気付いていない。


「本当に、愚かな生き物だ………。」


一匹の猫が、高い塀の上から学園を眺めている。

野良猫にしては珍しい、白い毛並みの綺麗なペルシャ猫———ノラだ。

ノラは、ふさふさのよく手入れがされている真っ白な毛をなびかせながら、ふわりと学園の敷地内に飛び降りた。







ニコラス学園は広い。

広い敷地内は、たくさんの緑で溢れている。

元々あった森もあれば、人工的に植えられた木々もあり、芝生もあるし、花壇もある。

学校だと知らずに迷い込んだら、公園だと思う者もいるだろう。

種目別に分かれている運動場が幾つも見える。

何処に何があるのか、覚えるだけでも大変そうだ。


「こりゃ、すごいわ…。」


一羽のカラスが呟いた。

校庭の隅にある木々の中でも、一番高い木の枝に止まり、広い学園を見渡している。

隣の木の枝には、コウモリがぶら下がっていて、その下の方にはイタチが居た。


「さて、まずはどこに潜入するか、だな。」


クロが言った。

頭を使うことが、あまり得意ではないクロに、潜入できる場所は限られている。


「計画はあるのか?」


バトが聞いた。

バトの方が、クロよりも頭を使うことは、得意だ。

クロが躊躇ためらうことなく「ない」と言い切ると、そんなことだろうと思っていたみたいに溜息をいた。


「計画も無く、行き当たりばったりかよ………。」

「へへ、スゲーだろう?」


危機感のないクロは、自分の無計画さを、本番の強いヤツと勘違いしている。

そういうところが頭の弱い所だと、バトもヴィゼも思った。

それを言ったところで無駄なことも分かっている。


「どうでもいいけど、俺を巻き込むなよ。」


バトは、ひとこと言い捨て、飛び立った。

東の校舎を目指して飛んで行く。


「あいつ、なんであっち?」


クロは聞いた。

バトが向かっている方向を見ながら聞いた後、下の方に居るヴィゼを見た。

ヴィゼは、自分しか答える者が居ないので、仕方なく答えた。


「東棟は、この時間、日が当たらない場所が多いからね。バトには都合がいいんでしょ。」


バトについて行こうと思っていたのに、飛んで行ってしまわれては、ついて行くことが出来ない。

答えるヴィゼの声は不機嫌だった。

もちろん、クロは、そんな些細ささいな変化には気づかない。

「ふーん」と言いながら、バトが飛んで行った方向と、その手前にある運動場を見て、何かを考えている。

どうせ、禄でもないことを考えているに違いない———と、ヴィゼは思った。

クロの目線の先にあるのは、サッカーグラウンドだ。

考えていることが分かり過ぎて、頭を抱えたくなった。


「じゃ、オレも行くわ。」


クロは弾むような声で言って飛び立った。

目指しているのは、サッカーグラウンド近くにあるイチイ並木のようだった。

何がしたいのか———なんて、ヴィゼには丸わかりだが、言ったところで無駄だと分かっているので、黙って見送り、様子を見ていることにした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ