#69 B・Bのやり方
B・Bの使い魔達から聞いた話では、生き物の魂にはエネルギーがあり、穢れているかいないかで、エネルギーの質や大きさは変わるという。
「つまり、赤子の命を差し出せと言ったのは、赤子の魂は穢れが無く、良質のエネルギーがたくさん得られるから………か。で?女である理由は?」
「契約してもグリース家が根絶やしになったら意味がないだろう?男は残しておく必要があった。」
「なるほど。」
「恐怖や苦しみ、悲しみからも、ほどほどのエネルギーが得られるしね。」
なぜか、凪はB・Bが魂のエネルギーを糧にしていると分かってから、使い魔の5人と輪を作り、座談会を開いている。
使い魔の5人も、もう隠す必要はないと判断したのか、聞かれるままに答えていた。
人間が食する量に比べたら、悪魔が必要とする魂の数など、たかが知れている。
魂以外からも、エネルギーの吸収はできるのだから、悪魔はまだまだ可愛いものだ。
凪が平気な顔をしているのが不思議だった。
「………。」
マリアは、その輪から離れ、塀を背もたれにして座っていた。
気持ちが悪くなっていた。
魂のエネルギーを吸収する。
食べるのと何が違うのだろうか?
人が魚や動物の肉を食べるのと同じだと言われてしまう?
生きる為には仕方がないことだと言われてしまえば、仕方がないと納得できるものなのだろうか?
「ねぇ、マリアは、ルイーザが幸せだったと思う?」
少し距離を置いて隣に座ったヴィゼが、問い掛けて来た。
「たいして仲が良かったわけじゃないよね?どっちかって言ったら避けていたでしょ?」
「………。」
図星を突かれて、言葉が無かった。
「なぜそう思うのか不思議?でも、マリアは自分の事、きっとあまり話さないでしょ?知られたくないことがいっぱいあるから。でも、ぼく達に隠さなきゃならないことは何もないよ。そうでしょ?だったら、ぼく達と一緒に居た方が本当は楽なんじゃないかなぁ。」
「おい、マリアから離れろ!」
気付いた凪が怒った。
ヴィゼは立ち上がり、バレたか———と、言わんばかりの笑顔を見せた。
「………。」
マリアは、早くなった心臓の鼓動が痛くて仕方がなかった。
何でもない感じで軽くヴィゼは言っていたが、たいして仲良くも無い、ルイーザの生活環境も良く分かっていないマリアが、ルイーザを殺したと、いつまでも責めるのは可笑しいし、隠し事ばかりのマリアは、ルイーザと同じように、周りには良く分からない存在だと思われているに違いないと、言われたような気がした。
「B・Bは、きっとマリアを殺さない。マリアには、ずっと傍に居て欲しいと思ってるよ。だから、安心してこっちにおいで。」
「ルイーザにもそう言ったの?」
「さて、どうかな。でも、君の場合、ぼく達と一緒に居れば、君の周りに居る人達を守る事が出来るかもしれないよ。」
「どういうこと?」
「ぼく達のことも、B・Bのことも、止めることが出来るからね。」
そう言って、ヴィゼは仲間の所へ戻って行く。
「ぼく達、そろそろ戻らないといけない。」
「あぁ、そうだな。」
ヴィゼの言葉を聞いてバトが言う。
「じゃあ、またね。」と、ノラ。
「バイバイ。」
クロが手を振った。
最後にドドがぺこりと頭を下げると、強い風が吹き、砂埃が巻き上がった。
「………っ‼」
咄嗟にマリアは目を庇い、両腕で顔を覆った。
風がやんだ時には、使い魔達の姿は消えていた。




