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約束と契約  作者: オボロ
66/114

#66 ショッピングモール



「今年はドラキュラになるらしいわ。」


この日、凪は荷物持ちとして、マリアと一緒に朔乃の買い物に同行した。

向かったショッピングモールでは、何処もハロウィーン用の商品で溢れていた。


日本では珍しいオレンジ色のカボチャ。

規格外の大きさの物から、少し小さめの物まで揃っている。

蝋燭の種類も豊富だ。

色もサイズも形も様々だった。


カボチャや蝋燭は、グレース家ではもう既に用意してある。

お菓子や料理の材料は、用意するにはまだ早いのだろう。

今日は、アルフの仮装の為の物と、家の周りを飾る為の物を、購入する予定であるようだった。


「アルフは海賊になりたかったらしいんだけど、海賊はお化けじゃないでしょって、ママに却下されたらしいわ。」


洋装店の生地コーナーで、楽しそうに布を選んでいる朔乃を眺めながら、マリアが事のいきさつを説明した。

どうやら、ここにアルフが居ない理由が、そこにあるらしい。


「ドラキュラはお化けなのか?」

「そうね。主食は血液だから、普通の人ではないわね。」

「………。」


凪はドラキュラと言う者の姿を想像しようとしたが、人肉ではなく、血液を主食にしている生き物と言ったら、蚊や蛭以外には思い浮かばなくて、人の姿を想像することは出来なかった。


「当日になれば分かるわよ。」


凪がピンときていないだろうことに気が付いたのだろう。

悩む凪を励ますように、マリアが言った。


「………。」


ドラキュラの正体も気になるが、実のところ、凪には他にも気になることがあった。

どこからか、こちらの様子を窺う視線を、ずっと感じていた。


マリアは気付いていない様子だが、その視線は、ショッピングモールに着いてから付き纏い始め、今も続いている。

着かず離れずの距離を保ち、ずっとついて来ているという感じだ。

チャンスがあれば、姿を見たいと思うのだが、振り向くと、それらしき姿は無く、正体は分からないまま。


B・Bではないだろう。

B・Bが近くに現れたのなら、空気の淀みで分かるはず。

ならば、使い魔だろうか?


凪は、使い魔達の姿を思い浮かべた。


5人が5人とも子供の姿をしていた。

ショッピングモールの人ごみに紛れてついて来るのは容易いはず。

しかし、ノラはとても奇抜な恰好をしていたので、人ごみに紛れるのは難しい。

きっと5人ではない。

それでも、子供がこそこそ隠れながら歩いていたならば、不思議に思う視線を集めるのではないだろうか?


では、動物の姿で?


ネコ、コウモリ、カラス、イタチ、カエル


どれも人目を引きそうだ。



「マリア、使い魔が居るかもしれない。決してわたしから離れるな。」


凪は声を潜め、マリアに警告した。




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