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約束と契約  作者: オボロ
61/114

#61 八方塞がり


「凪はどう思う?」




裏庭の祠の傍で横たわる凪に、マリアは聞いた。

マリアの———どう思う?———は、ミリアのことでは無く、B・Bのことだ。

B・Bは、ルイーザの1件以来、全く現れていない。

使い魔が接触して来る様子も無い。

これはどういうことなのか、マリアは気になっていた。


「どうもこうも、関わって来ないに越したことはないだろう。」


凪はつれなく返事をした。


「それよりも、弓の件はどうした?B・Bが大人しくしているのなら、この機会に動いた方が良いのではないのか?」


マリアが弓を習うべきだと琴音に言われていたことは、当然、凪の耳にも入っていた。

琴音は、弓を勧める理由を、マリアの自信に繋がるからだと言っていた。

マリアの為になると、琴音が判断したのだから、弓を習うべきだと、マリアも思っている。

しかし、弓を習いたいと、トールと朔乃には、まだ話していなかった。

話そうとはした。

何度も、「弓を習いたい」と、言おうとした。

それでも、言うことが出来なかったのは、弓の話をしようとすると、必ずトールと朔乃は巧みに話をすり替えて、マリアに弓の話をさせなかったからだ。

答えをはぐらかしているのではない。

元々の、弓の話をする機会を、トールと朔乃は、マリアから奪い続けていた。


「自分で探すのは無理かな?」


マリアはぽつりと言った。

ことごとく弓の話をする機会を逃し続けていて、話せる気がしなくなっていた。

どうせまた、話そうとした途端に、全く違う話になって、結局、弓の話は一言も言えず仕舞いで1日が終わってしまうに決まっている。

そう思うと、マリアは、「弓を習いたい」と、トールと朔乃に言える時は、もうずっと来ないんじゃないかとすら思えて来て、弓を習う許可がもらえる自信は、全く無くなっていた。


「どうやって探すつもりだ?登下校以外で、1人になることは許されていないだろう?」

「うー…ん。サークルにアーチェリーがあれば良かったんだけど……。」


ニコラス学園には、たくさんのサークルが存在するのだが、アーチェリーサークルは無かった。

弓道サークルもしかり。

サークルならば、トールと朔乃には、弓とは関係のないサークルだということにして、サークルに入る許可さえもらってしまえば良かった。

そうすれば、堂々と学園で弓を習うことが出来た。

凪が言うように、B・Bが関わって来ないこの時期に弓の練習をしていれば、B・Bの動向を気にしながら練習をするよりは身に付くだろう。

だが、実際には、学園にサークルは無いし、トールと朔乃に話すらしていない。

当然、弓を教えてくれるところは、見つかっていない。

トールと朔乃は、話をさせてもくれないし、自力で見つけようにも、当てはないし、方法は無い。



「八方塞がりなのよ………。」



マリアは、凪の毛に顔を埋め、頭を抱えた。



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